2018年5月23日に3rdシングル「LONELY ALICE」をリリースした声優ユニットのPyxis。TVアニメ『ありす or ありす』のエンディングテーマにも採用されている本楽曲は、Pyxis3周年を迎える5月に発売されるメモリアルシングルでもある。
今回は、そんなPyxisの伊藤美来と豊田萌絵に「LONELY ALICE」についてはもちろん、家族の話といったプライベートなところから、ふたりの出会い、そして3周年を迎え、いまの自分たちにとって大切なことについて尋ねた。
▼歌でつなぐバトン
――3rdシングル「LONELY ALICE」は、どういった楽曲になりました?
伊藤 「LONELY ALICE」はTVアニメ『ありす or ありす』のエンディングテーマにもなると聞いて、「どんな曲になるかな」と楽しみにしていました。出来上がった楽曲を聴いたら、かわいらしくてポップで、作品に寄り添った楽曲に仕上がっていました。「アリス」がテーマになっているので、メロディラインに「アリス」っぽい遊び心が入っていて、かわいいだけじゃなく、楽しい曲になっていますね。
豊田 私は特にイントロが好きで、物語に引き込まれるようでした。耳馴染みが良くて、スラッと聴けます。
――レコーディングはいかがでした?
豊田 今回はみくが先にレコーディングをして、私がそれに合わせるという流れだったんです。「LONELY ALICE」はふたりが会話している雰囲気の楽曲になっているので、みくの声を聴きながら私がレスポンスをしていくというイメージで歌いました。
伊藤 私は、かわいらしさはもちろん、「歌詞に合わせて寂しさを入れてください」というディレクションを受けました。あと、サビはふたりの掛け合いになっているので、もえさんを意識しながら歌っていきましたね。
豊田 私はディレクターさんと相談してみくとは少し違う感じでレコーディングをしました。ユニットの楽曲って、どちらの声かわからない現象があるじゃないですか。なるべくそれを軽減したかった。ふたりのキャラクター性が違うということを一発でわからせたかったんです。サビはユニゾンなのでみくに合わせて、AメロやBメロのソロパートは私の声質を活かして、「みくの声を包み込む感じの歌い方にしていいですか」って、優しくハスキーな部分を出して歌いました。
伊藤 完成した楽曲を聴くと、ちゃんとふたりのキャラクター性がわかれていて、お互いに意識したところが反映されているんだよね。それが嬉しかったし、マッチしていたので、ユニットの曲として完成しているなって。
▼自然とフォローし合う間柄
――2番めに歌うときに、最初にレコーディングした方からの「こう歌って欲しい」感が伝わることはある?
伊藤 バトンを渡されている感じはありますね。
豊田 2番のサビ前に"ずっと繋がってる"というみくのパートがあるんですけど、これはこのパートにだけ入っているフレーズなんです。このパートがめちゃくちゃ好きで、しかもサビに入りやすいんですよ。サビ前の盛り上がりを作ってくれている箇所でもあるので、みくが歌っているのを大事に受け継ぎたい、大切にしたいなって。
伊藤 えへへ。私は2Aメロの"キミはいつだって 私の強がり見抜いてくれた"が共感できて好きなんです。もえさんとユニット活動をしてきたなかで、こういう場面がたくさんあったなって。ずっともえさんと一緒にいるので、お互いなにを考えているかがだいたいわかるんです。私は我慢してしまうタイプなので、もえさんはそれを見抜いてサラッと伝えてくれるということがよくあるんですよ。
豊田 たしかにそれはよくある(笑)。
――自然とそういう流れに?
豊田 もともとそういうタイプなんです。みくは人見知りなので初対面の人や先輩に会ったときに、緊張しているのかなかなか話せないときがあるんだよね。
伊藤 ある(笑)。
豊田 今日はしゃべってないなって、この話題のときの鉄板ネタがあるのに、言わないなってときがあるの。
伊藤 それはもしかして鉄板ネタってことに気付いてないだけかもしれない(笑)。
豊田 私だけが気付いているのかも。そういうときは「その話題のときはこの話をしたら広がるな」ってネタを投げかけます。「みく、それはこうだよね」って、なるべくサポートを。
――豊田さんはそういった人見知りはしない?
豊田 話すのが好きなほうなのであんまりしないですね。誰とでも話せるんですけど、深い話までできる人は限られていますね。みくはそこを突破しています。
――そんな豊田さんの好きなフレーズは?
豊田 私は"寂しがり屋じゃないはずなんだ"が好きですね。私も寂しがり屋じゃないはずなのに、めっちゃ寂しいと思うことがいっぱいあるんです。
伊藤 "寂しがり屋じゃないはずなんだ"じゃなくて、寂しがり屋ですよ。
豊田 昔はそんなんじゃなかった(笑)。
伊藤 その寂しい部分を出さないんですよ。「ここで連絡を取りたいんだろうな」とか「この場所に一緒に行きたいんだろうな」って。それを言ってこないので、もう察するしかないですよね。でも、もえさんが我慢できなくなって、「みく、一緒に行こう」って。
豊田 一回ツンッてする。でも、結局行くんだよね。
▼物議をかもした「&」
――「LONELY ALICE」ではMVも撮影しましたね。絵本の中のお話で、カフェ店員になったふたりがオープンのために奮闘していくというストーリーです。
伊藤 茨城に実在するカフェで撮影したんですよ。セットではないので、リアリティのあるカフェ感が出ていると思います。ダンスシーンで使用しているステージももともとカフェにあったものなんです。
豊田 外も中も全部同じカフェなんですよ。
――撮影時で印象深いエピソードはありますか?
伊藤 私が店内の掃除をして、もえさんが看板をつくってカフェを創設していくんですけど、もえさんがチョークで黒板を描くシーンでカフェの店名「WONDER CAFFE」が書けなくて(笑)。そのあと店名の上に「CAFFE&DANCE」と書くんですけど、そのときも「&」の書き方がおかしいぞと。
豊田 23年間、あの「&」で生きてきたからね。
伊藤 見たこともない「&」なんですよ。スタッフさんも呼んで、「これ違うんじゃない?」って。
――どんな「&」だったんですか?
豊田 ちょっと書きますね(実際に書き始める)。
――ん?
伊藤 「8」がぴょんってしただけ。
――これは8ですか?
豊田 「&」です。
伊藤 私も簡略した「&」しか書けないんですけど、こう。
豊田 これは本当に意味がわからん!
伊藤 でも、もえさんのは8の上にぴょんがある。これは「&」なのかどうか会議が行われたんですけど、結局、監督が「このまま使おう」って映像にも残っています。
豊田 いまだに腑に落ちていない出来事です。
――今後もこの「&」で?
豊田 この「&」で通していきます。23年間この「&」で通用してきたので。