リフレッシュといえば、旅行です。

しかし旅行にはお金と時間がかかるもの。貧乏暇なし。忙しく働いているのに、お金がないのです。リフレッシュしたい人ほど、リフレッシュできない。そこで、お金も時間もかけずに旅行をして、リフレッシュする方法を考えました。

なぜ、旅行にはお金と時間がかかるのでしょう。それは遠くに行くからです。遠いと時間と交通費がかかります。そして、せっかく遠くまで来たのだからといい宿に泊まり、いいものを食べ、お土産に変なぬいぐるみを買ってしまう。

「旅=遠く」と思い込んでいませんか。「遠くへ行きたい」と旅を歌った歌謡曲もあるぐらいです。発想を変えるしかありません。近くで旅行をして、リフレッシュしましょう。あの曲の歌い出しは「知らない街を歩いてみたい」ですから、「知らない街」なら近くてもいいのです。

というわけで、文京区からお隣の台東区へ、1泊2日の旅行をしました。そして、思っていたよりリフレッシュできたので報告します。近場の観光、「近観光(ちかんこう)」でリフレッシュです。

旅行の必要条件

ところで、旅行をするとどうしてリフレッシュできるのでしょう。それは、マンネリ化した日常を、旅行の非日常感が解きほぐしてくれるからです。では、旅行の非日常感は、何から生じるのでしょう。

・うまいものを食べる
・温泉に入る
・宿に泊まる
・見どころを押さえる

だいたいこんなところではないでしょうか。この4つを「知らない街」で実行すれば、非日常感のある旅行になり、リフレッシュできるのです。

仕事終わりに出発

金曜、少し残業をして会社を出ました。出発時刻はとくに決めていませんでした。飛行機や新幹線を使う旅だったら、こうはいきません。気ままに旅立つことができます。

行き先は浅草。これまでに何度か足を運びましたが、ほとんど知らない街と言ってよいでしょう。出発前、同僚から飲みの誘いがありましたが、「これから旅行なので」と断りました。

「え、どこ行くの? 箱根とか?」
「浅草へ、1泊2日で」
「近っ! しかも泊まり!?」

職場は本駒込なので、浅草まで30分ほど。3人に聞かれ、3人とも同じ反応でした。

すぐにつく

バスに乗車し、20分で浅草に到着。わかっていましたが、近い。210円。これがもし、箱根だったら2時間と3,000円はかかっていたことでしょう。

この日は5月18日。浅草が一年でもっとも活気づくといわれる「三社祭」の初日でした。三社祭を狙ってこの日にしたのではありません。まったく知りませんでした(知らないにもほどがある)。

見どころを押さえる

浅草に着くと、半纏に股引といったお祭り姿の人がちらほら。三社祭だからですが、いきなり非日常感があふれています。この姿が日常なのはクールポコぐらいでしょう。みんな同じ方へ歩いていくので、ふらふらとついていきました。

そして、浅草寺の仲見世通りに出ると、

神輿だ! 非日常のシンボル、神輿です。

すごい混雑で身動きがあまり取れないので、流れに身を任せていくと、

神輿がゴールについたのか、わーっと歓声と拍手が起こりました。

活気、人混み、掛け声。会社を出てまだ1時間も経っていませんが、非日常のど真ん中にいました。平日の夜、わりと近いところで、こんなことが起きていたのですね。

うまいものを食べる

旅行の要素「見どころ」をクリアし、次の要素は「グルメ」です。

ホッピー通り、いい雰囲気です。今夜はこの街で1泊するのだと思うと、街並みが人々が急に親密に感じられました。この「ここで1泊する」という心構えが、旅行気分のベースになっているようです。1泊がなかったら、酒を飲むだけになってしまい、それは日常です。1泊が人を旅行モードにするのです。

あらかじめ食べログでチェックしていた居酒屋へ。路上のテーブル席。牛煮込みの名店らしいので、それを注文。1分も待たずにビールと牛煮込みが出てきました。

やや蒸し暑い空気。喧騒、夜風。ビールに最高のシチュエーション。

うまい……。

酔いがまわってくれば、もはやどこでも一緒です。ここが浅草だろうが、ドイツだろうが、あまり関係ありません。それなら近い方がいいじゃないですか。

温泉に入る

ほろよいで浅草の有名な銭湯へ。旅行といえば、温泉。この銭湯は天然温泉が出ています。しかも露天風呂あり。旅行度がぐんぐん上がります。

シャンプーとボディソープは無料。水風呂もあり、交代浴をして1時間ほど満喫しました。これだけ充実しているのに、銭湯価格の460円。感動です。

風呂上がりの牛乳。

宿に泊まる

浅草観音裏をぶらぶらして22時半。宿に到着。民泊サイトAirbnbで前日に予約したゲストハウス。1泊3,300円。近観光のポイントは、安い宿に泊まることです。眠ってしまえば、浅草だろうが、ベトナムだろうが同じです。Airbnbで検索すると、「え、こんなところに?」というような地域にも安い宿が出てきます。Airbnbは必須です。

家に帰ることを気にせず飲んで、温泉に入って、ぶらぶらして、そのまま寝る。この幸せは、まさに旅行の幸せです。

すぐ帰れる

翌日、早朝の浅草寺を散歩して、うまいと評判の立ち食いそばに寄り、バスで帰りました。家に着いたのが8時。朝の8時です。

遠出から帰ってくると疲れて「やっぱり家がいちばんね!」と元も子もない発言が飛び出すことがありますが、そういう気持ちにはなりません。疲れるほど移動していないからです。

しかも、1泊2日の旅をしたのにこれから休日が始まるので、土日を有効に使えます。マンネリ化した生活に旅行の刺激が加わって、リフレッシュできました。

かかった費用
交通費 420円(バス代・往復)
グルメ 2,150円(居酒屋と立ち食いそばと牛乳)
温泉 460円
宿 3,349円
合計 6,379円

かかった時間
13時間(19時~翌8時)

まとめ

1泊2日の旅行でリフレッシュできて、この値段は安いと思いました。近場なので、木曜の定時後に旅立って、金曜はそのまま出社(エクストリーム出社)してもよさそうです。

今回は浅草という日本を代表する観光地を選んだこともあり、うまくいきすぎた感があります。とくに三社祭はインパクトが大きすぎました(三社祭の日だと当日に知ったときは、しまった! と思いました)。次があるなら、観光客は訪れないようなところでやって、どこでもできることを伝えたいです。

浅草が筆者にとってよく知らない街だったのと同じように、未開の近所はだれにでもあるはずです。行ってみたい銭湯や飲食店を軸に、安い宿を予約して、1泊2日で近所に旅立ってください。そのエリアに住んでいる友人に、おもしろい見どころがないか聞いてみると、名所や珍スポットが出てくるはずです。

近観光は、旅行の必要条件(グルメ・温泉・宿・見どころ)を満たすことで、近所なのにちゃんとした旅行をしていると脳に錯覚させ、体験を特別なものにしてくれたのだと思います。おすすめです。

著者プロフィール: しーなねこ

珍妙な虚脱感を共有する団体「へもいっ子クラブ」の代表。「リアル桃鉄」「エクストリーム出社」など、視点を変えて生活をおもしろたのしくすることが目標。著書「サラリーマンは早朝旅行をしよう! 平日朝からとことん遊ぶ『エクストリーム出社』」(SB新書・共著) 。
ブログ: しーなねこのブログ
ツイッター: @shiinaneko