「渋谷を『日本一訪れたい街』へ」を掲げ、現在も6つの再開発プロジェクトを進めている東急グループは5月24日、「渋谷ヒカリエ」(2012年4月開業)と「渋谷キャスト」(2017年4月開業)に続く施設の詳細を発表した。「渋谷ストリーム」は9月13日に、2018年秋開業の渋谷代官山Rプロジェクトは「渋谷ブリッジ」を施設名として2018年秋にそれぞれ開業し、旧東横線渋谷駅及び線路跡地に新しい風を送り込む。

  • 渋谷川の先にある一際高いビルが「渋谷ストリーム」。現在、それぞれの施設の工事と共に、渋谷川の整備も進行中だ

渋谷川再生とともに渋谷駅南側をつなぐ

既存の2施設も含めた全8施設は、東急グループが構想している渋谷駅半径2.5km圏内の「広域渋谷圏」の核となる部分であり、これまでの渋谷~原宿・表参道・青山に加え、渋谷~代官山方面の流れを作るのが、今回の渋谷ストリームと渋谷ブリッジになる。

  • 2017年4月に開業した「渋谷キャスト」は、「遊ぶ、働く、住む」が有機的につながった複合施設

渋谷ストリームは首都高速3号線と国道246号線によって分断された渋谷駅の南側の開発と、渋谷川及び水辺空間の再生・整備により、クリエイティブワーカーを魅了するエリアへと変貌させる起爆剤となる。さらにその先にある渋谷ブリッジを通じて、渋谷は有機的に代官山方面とつながる。

  • 東急グループは「渋谷ヒカリエ」と「渋谷キャスト」に加え、現在、6つのプロジェクトを進めている

渋谷ストリームには、官民連帯のもとで水景施設へと整備された渋谷川・広場をグラウンドフロアとし、1~3階には日本初上陸1店舗、新業態13店舗、都内・渋谷エリア初出店7店舗を含む全30店舗の商業施設、4階には約700人を収容可能なホールとともに、サイクルカフェや多目的広場、インキュベーションオフィスを展開する。

  • 渋谷ストリーム ホール(写真提供: 渋谷ストリーム)

9~13階には新たな渋谷カルチャーを発信する、客室数177室のシティホテル「渋谷ストリームエクセルホテル東急」を備え、14~35階には渋谷エリア最大級の総賃貸可能面積約1万4,000坪(1フロア約640坪)のオフィス空間が広がっており、グーグル本社機能の移転入居が決まっている。

現在も地下に東横線が走る渋谷ブリッジは、約600mに渡って整備される渋谷川沿いの遊歩道の先に位置しており、A棟・B棟の2棟の建物からなる複合施設。A棟には保育所型認定こども園「渋谷東しぜんの国こども園 small alley」が開園し、B棟にはドミトリーから個室まで備えた客室数76室のホテル「MUSTARD HOTEL」と、店舗&オフィスを展開する。

  • 2027年度頃の渋谷駅周辺のイメージ(写真提供: 東京急行電鉄)

3つの異なるテーマで全30店舗を展開

では実際、それぞれの施設はどのような”新しい渋谷”を体験させてくれるのか。まず、渋谷ストリーム1~3階を担う商業ゾーンは「渋谷流=シブヤ・カスタム」が集まる商業空間をコンセプトにしている。既存のルールにとらわれず、自分基準でカスタマイズやアレンジをする大人をターゲットとしている。

  • 渋谷ストリーム フロア構成(写真提供: 渋谷ストリーム)

  • 渋谷ストリームの側に設けられた「アーバン・コア」。駅や施設、道路をエスカレーターとエレベーターと階段でつなぐことで空間を有機的に結び付ける

渋谷川沿いで広場と融合し、ゆったりと時を過ごすことができる1階は、川沿いのひろがりを感じさせる「Riverside Market」をテーマにしている。大阪より都内初出店となるメキシカン料理「墨国回転鶏料理(ボッコクカイテントリリョウリ)」や、天然酵母バンズや極粗挽きのジューシーパティなどで魅了するハンバーガーショップ「THE GREAT BURGER STAND」など、5店舗で構成される。

渋谷のストリートのように路面感覚の店舗が軒を連ねる2階は、「Shibuya Custom Street」をテーマに設定し、渋谷ストリームのコンセプトを体現したような空間が広がっている。フランスパン専門店の「メゾンカイザー」を手掛ける木村周一郎氏が懐かしくも新しい惣菜パンや菓子パンを提供するシブヤそうざいパン「BaKING SHU」や、ライブ感あふれるフルオープンキッチンで正統派フレンチをタパスサイズで楽しむつまむフレンチ「bar a vin croisee(バール ア ヴァン クロワゼ)」など、15店舗で構成する。

  • 商業施設2階のイメージ(写真提供: 渋谷ストリーム)

「Shibuya Court」をテーマにした3階には、和食やスパニッシュなどの専門店とオープンな雰囲気のお店が並ぶ。9店舗で構成される3階の中でも特に注目なのは、トランジットジェネラルオフィスがプロデュースするバルセロナ一のパエリアを提供するシーフードレストラン「XIRINGUITOEscriba(チリンギート エスクリバ)」で、同店が日本初上陸となる。

  • 商業施設3階のイメージ(写真提供: 渋谷ストリーム)

インバウンド需要に応えるクリエイティブなホテルも

官民連携により再生される渋谷川に面したグランドフロアには、2つの広場が誕生する。渋谷ストリームの大階段と稲荷橋に面する広場「(仮称)稲荷橋広場」は渋谷駅南側エリアの玄関口として渋谷川を見渡せる場所となり、各種イベントや発表会、プロモーションなどを実施する予定。また、金王橋に面する広場「(仮称)金王橋広場」は、街に開かれた地域のシンボル空間として地元のお祭りなども構想しており、潤いある水辺の空間を提供する。

  • (仮称)稲荷橋広場(写真提供: 渋谷ストリーム)

  • (仮称)金王橋広場(写真提供: 渋谷ストリーム)

9~13階に開業する「渋谷ストリームエクセルホテル東急」は、「渋谷から世界へ 感性を刺激するホテル~THE SHIBUYA SENSIBILITY~」をコンセプトにしており、感度の高い渋谷独自の価値観や感覚をホテルのデザインに取り入れることで、国内外の人々の感性を刺激するホテルを目指す。4階にロビー・ラウンジとBar&Dining「TORRENT」、サイクルカフェが一体となったカジュアルな空間を設けることで、にぎわいのあふれる交流のハブとなる。

  • 渋谷ストリーム エクセルホテル東急 4階フロント

9~13階には「Wao! を感じるクリエイターのレジデンス~Creator in Residence × Hotel Function~」をテーマにした客室を備えているのも大きな特長。古き良きものをお洒落に、現代風にアレンジした内装デザイン「ヴィンテージモダン」をコンセプトとした客室では、ファッション文化の聖地である渋谷のアパレルショップをイメージしたワードローブ「ファッションクローク」をはじめ、一点一点の家具にこだわり、クリエイターが住んでいるような空間を具現化する。客室数は177室で、シングル・ダブル124室(約20平方メートル~)、ツイン53室(約30平方メートル~)を展開。6月1日より予約を開始する。

  • 渋谷ストリーム エクセルホテル東急 客室

1階「Riverside Market」
・メキシコ酒場「墨国回転鶏料理(ボッコクカイテントリリョウリ)」(都内初出店)
・グルメバーガーショップ「THE GREAT BURGER STAND」
・ストリート・バル「GH ETHNICA(ジーエイチ エスニカ) 」(新ブランド/新業態)
・レモネード専門店「LEMONADE by Lemonica」
・フレンチ「ビストロ るぅぱん SAKABA&CAFE」(都内初出店)

2階「Shibuya Custom Street」
・スペシャルティコーヒーストア「スターバックス コーヒー」(2018年内オープン予定)
・和食レストラン「酢重正之 INDIGO」(新ブランド/新業態)
・カフェ「DEAN & DELUCA CAFE」
・フレンチ「bar a vin croisee(バール ア ヴァン クロワゼ)」(新ブランド/新業態)
・おにぎり「かつおとぼんた」(新ブランド/新業態)
・タイ料理とアジアンビストロ「スパイス リップ」(新ブランド/新業態)
・イタリア版大衆食堂酒場「Petalo」新ブランド/新業態)
・ロブスターロール専門店「LUKE’S LOBSTER」
・南イタリア料理「ANTICA FORNERIA by ELIO」(渋谷エリア初出店)
・和食「MEAT TAVERN 煮込みや四兵衛」(新ブランド/新業態)
・シブヤそうざいパン「BaKING SHU」(新ブランド/新業態)
・モダンピッツァショップ「CITYSHOP PIZZA」(新ブランド/新業態)
・鶏焼肉専門店「CHICKEN KITCHEN」(新ブランド/新業態)
・街の食堂「土鍋炊ごはん なかよし」
・デリカテッセン「Precce SHIBUYA DELI MARKET」(新ブランド/新業態)

3階「Shibuya Court」
・シーフードレストラン「XIRINGUITO Escriba(チリンギート エスクリバ)」(日本初上陸)
・日本料理店「圓 弁柄」(新ブランド/新業態)
・串揚げの専門店「串亭」
・江戸前鮨「SUSHI TOKYO TEN,」(渋谷エリア初出店)
・手作り餃子と本格中華料理「大連餃子基地 DALIAN」(渋谷エリア初出店)
・鉄板料理「鐡板台所」(新ブランド/新業態)
・イタリアン「ワインのるいすけ」(渋谷エリア初出店)
・居酒屋「なかめのてっぺん」
・ビアバー「クラフトビールタップ」(渋谷エリア初出店)

  • 現在の渋谷川の様子

  • 渋谷川の再生イメージ(写真提供: 渋谷ストリーム)

  • 渋谷ストリームと渋谷ブリッジの間、渋谷川の遊歩道側に、2017年10月に次の100年の新しい価値を築く実験区「100BANCH」がオープンした。東京急行電鉄もこの開発にコラボレーションで参画している

渋谷ストリームに続く渋谷ブリッジはどんなところか。同施設は、東横線渋谷~代官山間の地下化によって新たに創出されたトンネル上部の線路跡地で推進している渋谷代官山Rプロジェクトとして展開され、5月24日に施設名「渋谷ブリッジ」が発表された。