――ストレス耐性には個人差があると思うのですが、五月病になりやすい人には何か共通の特徴があるのでしょうか。

五月病になりやすい人は「人一倍がんばらなきゃ」「早く仕事を覚えなくては」といったように、「真面目」「几帳面」「責任感が強い」「完璧主義者」などの特徴を持つ傾向があり、そのためつい無理をしてしまいます。一方で、普段からうまく気分転換やストレス発散ができるような方は、五月病にはなりにくいと思われるため、自分の趣味や好きなことを持ち、ストレスをためないようにすることが大切です。

――私も自分の趣味に没頭する時間を心がけるようにしたいです。ただ、どれだけ注意をしていても、五月病を100%防ぐのは難しいのが現実だと思います。万一、「五月病かもしれない」と気づいたときにはどのように対処したらいいのでしょうか。

症状が軽いうちはまだ改善の余地はあるのですが、重症になってしまったり症状が長引いたりすると、うつ病になってしまう可能性もあります。そうならないためにも、まずはゆっくり休養をとることが大切です。

GWは、4月に無理をしすぎて酷使してしまった心と身体をゆっくり休めるためにあるものと思ってください。気分転換やストレス発散のため、どこか旅行に行ったり温泉にでも浸かってのんびりしたりするのもいいでしょう。普段からストレスをためないようにうまく気分転換やストレス発散するように心がけてくださいね。

そして何より、あまり焦ってがんばりすぎないこと! 自分のペースで大丈夫なので、ゆっくり新しい環境に慣れていき、仕事も少しずつでいいので覚えていきましょう。

最初から完璧にできる人はいませんし、多少失敗したとしても、クヨクヨ気にせずに学習だと思って次から同じ失敗を繰り返さないようにすればよいのです。まずは低めの目標設定を心がけてください。それが達成できたら、その次もまたハードルを高くしすぎないよう、徐々に目標を上げていきましょう。それから、食事と睡眠をきちんととり、規則正しいリズムでの生活も大切です。

それでも、あまりにも症状がひどければ、一人で悩まずにすぐに精神科を受診してくださいね!

※写真と本文は関係ありません

取材協力: 髙木希奈(タカギ・キナ)

精神保健指定医、日本精神神経学会認定専門医、日本精神神経学会認定指導医、日本医師会認定産業医。長野県出身。聖マリアンナ医科大学卒業。現在は、精神科単科の病院で精神科救急を中心に急性期治療にあたっている。また、産業医として企業にも勤務している。著書に『あなたの周りの身近な狂気』(セブン&アイ出版)、『間取りの恋愛心理学』(三五館)、『精神科女医が本気で考えた 心と体を満足させるセックス』(徳間書店)、電子書籍『女医が教える飽きないエッチ』(App Store、Kindle)など。趣味は、海外旅行とスキューバダイビング。オフィシャルブログはこちら。