楽しいGWも後半に突入した。今年は5月1日と2日に有給休暇を取得すれば、最大で9連休にもおよぶ長期休暇だったが、もう数日もすればまたいつもの日常が戻ってくる。これは避けようがない事実だ。

そして、この大型連休を前後してよく聞こえてくるフレーズに「五月病」がある。多くの人が一度は見聞きした経験があるであろうこの五月病、具体的にはどのような症状を呈して、どのように対策をすればいいのだろうか。精神保健指定医の髙木希奈医師に解説してもらった。

五月病は医学的には「適応障害」などが該当

――「五月病」とはそもそも何なのかを教えてください。

「五月病」という言葉をよく耳にするかもしれませんが、これは正式な医学的病名ではありません。精神医学的な病名にあてはめると、「適応障害」や「うつ状態」などが当てはまります。

――そうなんですね。ということは、診断書などには「五月病」と記載されるのではなく、「適応障害」などの文言が並ぶということですね。では、このいわゆる「五月病」とは、どのような症状が出現するのでしょうか。

学生の方は、厳しい受験戦争を乗り越え、憧れの学校に入学できたという期待と希望に満ち溢れて新生活を迎えます。そこでがんばりすぎてしまい、GWあたりから一気にどっと疲れが出てきてしまう状態を指します。俗に「燃え尽き症候群」と言われる病態にも似ていますが、燃え尽き症候群も医学用語ではなく、同じく「適応障害」「うつ状態」などが当てはまります。

社会人の方は、新しい職場や人間関係、引越しなどによる生活環境の変化が春先に起きます。最初はそれに適応しようとして、緊張感や期待感を持ちはりきって取り組みます。ただ、逆に焦ってがんばりすぎてしまったり、理想と現実のギャップに愕然としたり、将来への不安感が出てきたり、入社・昇進といった大きな目標を達成した後に、新たな目標を見失って無気力になったりしてしまうなど、GW明けあたりからどっと疲れや体調不良が出てきます。

さらに気分の落ち込みや不安、焦燥、無気力、意欲低下、不眠、食欲低下などの症状を呈し、疲労感や倦怠感、頭痛、肩こりなどの身体症状も現れます。

  • 五月病は無気力や意欲低下といった症状を伴う

    五月病は無気力や意欲低下といった症状を伴う

仕事や勉強をしていても、ケアレスミスが増えるなど集中力の問題が出てきて仕事や勉強に支障が出たり、趣味や自分が楽しんでやっていることすらおっくうになったり、身なりに構わなくなったりするようであれば注意が必要です。

――社会人にしろ学生にしろ、急激な環境の変化に無理をしてついていこうとした「反動」が、五月病の原因になっているということですね。

環境の変化というのは誰でもストレスになります。結婚や昇進など、それがたとえポジティブなものであったとしてもです。転職や引っ越し、結婚などの大きなイベントがいくつも同時に重なると、余計にかなりのストレスがかかるので、もし可能であれば、それぞれの時期をずらした方がよいかと思います。