様相を異にする軽二輪カテゴリー

しかし、このレトロデザインブーム、カテゴリー別では小型二輪に限った現象だと思っている。同じバイクでも軽二輪のカテゴリーは、やはり前年度比で販売台数を伸ばしているものの、レトロデザインはほとんどないからだ。

メーカー別に前年度比の販売台数を見ると、ホンダの149%、スズキの169%が目立つ。スズキは150ccの「ジクサー」など、安価な車種をいくつか送り出したことが効いているようだ。一方のホンダは、クラストップの38psエンジンを積み、価格も75.6万円と飛び抜けた「CBR250RR」が注目されている。

  • スズキ「ジクサー」

    スズキの「ジクサー」

ホンダによれば、この「CBR250RR」の購入者の約半数は、驚くことに20~30歳代だという。ライバルのヤマハ「YZF25R」も若いライダーが多いそうだ。

ユーザー別の商品開発が可能な小型二輪と軽二輪

日本自動車工業会が4月に公表した2017年度二輪車市場動向調査によると、原付を含めたバイクの購入理由として多く挙がったのは、「身軽に動ける」「移動の時間が短縮できる」「自転車より楽」「燃費が良い」などだった。

昔はバイクに乗りたい理由として、スピードや爽快感という理由が多かったという記憶があるけれど、現在は機動的かつ経済的という、自転車に近い理由で選ぶ人が多くなったということになる。

  • ホンダ「CBR250RR」

    ホンダの「CBR250RR」

いずれにしても軽二輪と小型二輪とでは、ユーザー層が異なるようだ。ただ、車検がないなど維持費が安い軽二輪が若者向け、輸入車の選択肢も多い小型二輪がベテラン向けというのは理にかなっていると思うし、ユーザーの好みに特化したものづくりができるので好ましいのではないかという気もする。

警察庁は最近、原付二種AT車の教習所での技能教習を最短3日間から2日間に短縮する検討を進めるとともに、二輪車用駐車場の整備を働きかけ、道路状況によっては駐車禁止規制を緩和していくとの姿勢を示している。今までがバイクに対して厳しすぎた反動とも取れるけれど、これらも若者をバイクの世界に呼び込むきっかけになりそうだ。