一人暮らしのお部屋では、コンセントの数が足りなくなりがち。そこで電源タップを使ってコンセントを増やす訳ですが、適当につなげていると複雑な「タコ足配線」になっていることも。そんな電源タップを安全に使用するためのポイントについて、配線器具メーカーである明工社の川島政敏(かわしま・まさとし)さんにお話を伺いました。


——電源タップを使う上で、まず注意すべきことはなんでしょうか?

「気を付けなければいけないのは、通常の電源タップの最大使用電力は『1500Wまで』ということです。また、古い電源タップの中には最大使用電力が『1000Wあるいは1200W』といったものもあります。それらを無視し、最大使用電力を超えて使用した場合は『過電流』となり、大変危険です」

——いわゆる「タコ足配線」についてはいかがでしょう?

「一般社団法人・日本配線システム工業会では、『同じコンセントから電源タップや栓刃式マルチタップ(商品名:「三角タップ」、「コーナータップ」など)を複数使用する形態のこと』を『タコ足配線』と定義しています。例えば、『電源タップのコンセントに、さらに三角タップを付けている場合』や『電源タップを二つ連結している場合』が『タコ足配線』となります。
『タコ足配線』で特に問題なのは、いわゆるプラグとコンセントでつながれた部分(接続点)が増えることにより、『プラグの抜け』という不具合が発生しやすくなることです。完全に抜けた場合は電気が流れないので危険ではありませんが、抜けかかったままで電気が供給され続けると、電気的な接続が不完全な状態(接触不良)となって発熱し、最悪の場合は『発火』から『火災』へとつながりかねません」

——電源タップの使用で、他に気を付けた方がよいことはありますか?

「電源タップで最も多い不具合は、『コード』部分に関することです。例えば、『電源タップ本体とコードの境目』や『プラグ本体とコードの境目』はジャバラ構造になっていますが、特にその付近はひんぱんに屈曲されるため、コードの芯線が切れかかり(半断線)、発熱・発火する場合があります。他にも『こたつの足などをコードの上に載せる』、『部屋をまたいだコードをドアの開閉などで傷つける』、『コードを束ねたままで使う』といった行為は大変危険ですので、絶対にしないでください」

川島さんによれば、前出の日本配線システム工業会は最近、「電源タップ交換の目安は3~5年」と提唱しているとのこと。この根拠は、過去の事例において使用3年目くらいから事故の報告が出てくるためだそうです。使い方によって電源タップの寿命は変わりますが、定期的に状態をチェックし、少しでも異常を発見した場合は新しいものに交換した方がよいでしょう、ということでした。今回の記事を参考に、ぜひ自宅の電源タップを確認してみてくださいね。

《取材協力》
川島 政敏
株式会社 明工社 技術部
公式サイト http://www.meiko-g.co.jp/index.html



※本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。