JR東日本は9日付で、鉄道博物館で展示しているED40形式10号電気機関車と青梅鉄道公園で展示しているED16形式1号電気機関車がともに国の重要文化財に指定される運びとなったことを発表した。
ED40形式10号電気機関車は、信越本線横川~軽井沢間の急勾配区間用の電気機関車として、1919(大正8)年から製造されたED40形式の10号機。国鉄最初の本線用国産電気機関車として鉄道省大宮工場(現在のJR東日本大宮総合車両センター)で製造され、横川機関庫に配置された。
その後、軍の要請によって6号機とともに東武鉄道に貸し出され、急勾配区間のある日光軌道線で銅鉱石や銅製品の輸送にあたった。1968(昭和43)年の同線廃止とともに廃車となり、国鉄に戻った。2007年の鉄道博物館館開館にともない、ラック台車を展示用に復元して保存・展示されている。
ED16形式1号電気機関車は、小型の勾配線・貨物列車用電気機関車として 1931(昭和6)年から製造されたED16形式の1号機。初期の電化区間では輸入電気機関車を使用したが、日本の環境に適合せず故障が多いなどの問題があったことから、鉄道省と民間との共同設計によって製造された。
長年さまざまな線区で使用され、晩年は奥多摩地区から京浜工業地帯へのセメント原料の輸送を中心に、青梅線・五日市線・南武線で活躍。勾配区間への対応機能を中心に各種実験にも使用された。1980(昭和55)年に廃車となり、青梅鉄道公園に展示されている。
両機関車の指定により、JR東日本が所有する重要文化財は従来の5つから7つに増える。うち5つは鉄道車両で、残り2つは鉄道古文書と東京駅丸の内駅舎とのこと。