日光線で運行される205系1編成が「観光でご利用されるお客さまにより快適な移動時間をお過ごしいただける車両」に改造され、「いろは」の愛称を名乗ることになった。JR東日本大宮支社は10日、鉄道博物館にて報道陣および一般向けに「いろは」を公開した。

  • 日光線で運行される205系を改造した「いろは」。鉄道博物館にて外観・車内が公開された

「いろは」は4月から始まる「本物の出会い 栃木」ディスティネーションキャンペーン(栃木DC)に合わせて投入される。4月1日から運行開始する予定だ。愛称は日光の名所のひとつ「いろは坂」と、「物事のいろは」をかけ合わせたものである。日光への旅の始まりである日光線の車内で、日光の魅力を感じてもらいたいとの理由で名づけられた。

ヘッドマークに使用されているロゴマークは、いろは坂の頭文字「い」の字をモチーフに、いろは坂の48のカーブを表現する48色で彩りを加える。背景は日光線のイメージカラーであるクラシックルビーブラウン。形状は「いろは」の「I」とレールの断面をイメージしたという。

日光線の魅力にレトロ感を加える

デザインはレトロ調に仕上げた。日光線の魅力を外装デザインに取り入れるとともに、イメージとして「レトロ」を意識している。

  • 「いろは」ヘッドマーク

  • 大宮支社小山車両センター所属

  • ドアは各車両の両側2カ所

  • 中間の両開きドアが閉鎖されている

  • 車体側面モチーフ。日光東照宮で見られる龍

  • 車体側面モチーフ。霧降高原で見られるキスゲ

  • 「いろは」へようこそ

  • 行先表示は「日光線」

  • 木目調の車内が日光への期待を高める

車体側面には日光エリアの自然や観光資源、日光の社寺の彫刻で登場する動物をモチーフにしたイラストを配置している。黒や黄金色、灰桜色といった和の色使いにより、インバウンドの利用者を意識したジャポネスク風かつモダンなデザインとしている。乗降口は片側2扉。従来の205系は片側4扉だが、「いろは」では4扉のうち2つの扉が塞がれた。

木目調が心地よい車内のデザイン

車内内装は木目調としている。シートモケットもクラシックルビーブラウンを使用し、落ち着いた雰囲気を漂わせている。客室内の蛍光灯はLED蛍光灯となっており、非日常的な印象を利用者に与えるだろう。

吊り革は優先席付近のオレンジ色のものを除き、木製となっている。ドア上には車内表示機が新設され、外国語表記にも対応している。

  • 2人掛けクロスシート

  • 1人掛けクロスシート

  • 肘掛を上げられるシートも

  • 封鎖したドアの内側はクロスシートに

  • 通勤客を意識したロングシート

  • 吊り革は木製

バリアフリーの強化もこの車両の重要なポイントだ。車いすスペースを1カ所から2カ所に増やし、トイレも大型化した。車いすの人が席に移りやすいように、肘掛を上げられる座席もある。

車内ではフリーWi-Fiも利用可能であり、車内で観光情報を得やすくなっている。また、車内にもパンフレット置場や観光案内の掲示物があり、日光とはどんな場所かをわかりやすく伝えている。

  • 大荷物の利用者に向けた荷物スペースもある

  • 車内には栃木の魅力を紹介する案内がいっぱい

  • 伊藤若冲「菜蟲譜」が車内で見られる

  • 若冲により描かれた野菜や果物

  • 「菜蟲譜」とは何かが紹介されている

  • 佐野市立吉澤記念美術館での公開に合わせたもの

  • 車内の案内表示

  • 外国語での案内にも対応している

  • 無料Wi-Fiも完備

  • この車両は大宮総合車両センターで改造された

  • 観光案内パンフレット置き場

  • 「日光仮面」と宇都宮駅キャラクター「みやゴロくん」

日光の魅力を車両で伝える「いろは」。外国人観光客には「ジャパン・レール・パス」の関係か、新幹線で宇都宮駅まで来て、日光線で日光へ向かう人も多いという。そうした観光客に愛される車両として、この車両は高い評判を得るだろう。