日本医療政策機構はこのほど、「働く女性の健康増進に関する調査2018」の結果を明らかにした。同調査は2月、全国の18歳~49歳のフルタイムで働く女性2,000名を対象にインターネットで実施したもの。
月経周期や月経前症候群(PMS:Premenstrual Syndrome)・月経随伴症状といった月経に関する症状による仕事のパフォーマンスの変化を比較したところ、約50%が「元気な状態の仕事を10点とした場合、半分以下になる」と回答した。
同様に、更年期症状および更年期障害も、元気な状態の仕事を10点とした場合、仕事のパフォーマンスが半分以下になると回答した人が約50%だった。
個人が健康を促進し維持するため、必要な情報にアクセスし、理解し、活用していくための能力を「ヘルスリテラシー」と呼ぶが今回、「性成熟期女性のヘルスリテラシー尺度」をもとに、調査対象者をヘルスリテラシーが高い群、低い群に分類した。
そのうえで1カ月の仕事のパフォーマンスを比べたところ、ヘルスリテラシーが高い人の「仕事のパフォーマンス」の方が、有意に高いことが確認されたという。また、ヘルスリテラシーが高い人の方が、月経やPMS・月経随伴症状、更年期障害によって、仕事のパフォーマンスが下がる割合が低かった。
ヘルスリテラシーの高さと望んだ時期に妊娠できたかどうかの関連性について調べたところ、ヘルスリテラシーが高い人の方が、そうでない人の約1.9倍、望んだ時期に妊娠していることがわかった。
不妊治療に関する調査では、望んだ時期に妊娠ができなかった際、ヘルスリテラシーの高い人の方が、そうではない人の約1.8倍、不妊治療をしていたことが明らかになった。
ヘルスリテラシーの高さと月経異常時の対処行動の関連性について調べると、ヘルスリテラシーの高い人の方がそうでない人に比べ、月経の異常時に約2.8倍、PMS時に約1.9倍、更年期症状および更年期障害のあるときに約1.9倍、市販薬や医師の処方薬を飲んだり、医療機関を受診したりするなどの対処行動をしていた。
女性の健康に関することで、健康管理のために実施していることを尋ねたところ、ヘルスリテラシーの高い人は「婦人科系のがん検診に行っている(乳がんや子宮頸がん等)」が1位だった。一方、ヘルスリテラシーの低い人は、女性の健康管理のために「特にしていることはない」が最も多い回答となっている。