3月17日に実施される小田急電鉄のダイヤ改正は、代々木上原~登戸間の複々線化工事完成によるもの。これにより、朝夕ラッシュ時の混雑率低下やスピードアップなど、さまざまな改善が実施される。列車体系も大幅に変わり、従来の「遅い」「混む」というイメージの解消を、同社は図っている。
注目すべきポイントはいくつもあるが、ここでは、代々木上原を接続駅とする、東京メトロ千代田線への直通列車に焦点を当て、その狙いとするところを考えてみたい。特に通勤ラッシュ時間帯以外の、平日日中、土休日のダイヤにおいて、意図するところが明らかなのである。
多摩線から運転されている現在の千代田線直通
現在(ダイヤ改正前)、平日日中や土休日における、小田急線と千代田線の直通列車は、小田急多摩線の唐木田発着の急行が主力である。1時間あたりの運転本数は3本だ。一部の列車は、さらにJR常磐線柏・我孫子方面にまで直通しており、小田急、東京メトロの電車に加え、JR東日本の電車も充当されている。
なぜ多摩線~千代田線直通が主であるかと言うと、小田急多摩センターなど、同じ新宿をターミナルとする京王相模原線と競合する駅が複数あることが要因ではないかと思われる。多摩ニュータウン方面と新宿との行き来は、所要時間や運賃などから京王が有利であるため、千代田線方面に「活路」を見出していたと考えられる。
ただ、この急行。前身である多摩急行時代から乗車率は高くはなかった。特に快速急行が停車しない向ヶ丘遊園や登戸から新宿へ向かう客が敬遠しがちで、新宿発着の急行に利用客が集中する傾向があった。