オルタナティブバンド・yahyelが2月26日、3月7日にリリースする最新アルバム『Human』の先行試聴パーティーを都内で開催。Twitterの抽選で選ばれた30人のファンと収録曲を聴きながら、各曲の制作秘話を明かした。

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    『Human』の収録曲について語る篠田ミル(左)と池貝峻

yahyelは2015年3月に結成され、同年8月からライブ活動の本格化に伴い、池貝峻、篠田ミル、杉本亘に加えてドラマーに大井一彌、VJとして映像作家の山田健人を新メンバーに加えた。フジロック'17でのパフォーマンスが話題になったほか、音楽番組『バズリズム』のこれから流行るアーティストを予測する「これはバズるぞ2017」でTOP3入り。Spotify上では、グローバルで人気のチル系プレイリスト「Chill Vibes」(75万フォロワー)や、「Fresh Finds」(58万フォロワー)に収録されるなど、注目を集める新鋭アーティストだ。

この日は池貝峻と篠田ミルが参加。アルバムに合わせて作られたSpotifyプレイリスト「yahyel:in the studio」をもとに全10曲を振り返った。池貝は、2016年11月にリリースした1stアルバム『Flesh and Blood』以降、「伝えたかったのは、生々しい人間っぽいこと。その心境の部分が伝わらなかったわれわれの実力不足」と反省していたそうで、「そこの部分を掘りたい」という思いが今作には込められていると語った。

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    イベント中の撮影は自由でSNS投稿も許可された

一方の篠田は、「今回のアルバムの曲たちには、2017年に池貝峻に起きたことがその都度書き記されている」「僕はそばで池貝峻を見ているから分かるんですが、このへん(『Rude』)は躁状態」と当時の記憶を呼び起こし、「これが次どうなっていくのか着目しながら聴いていただければ」と説明。池貝はそのことを認めながらも、「扱いにくい人みたいになってない?」と返して場を和ませた。

また、「暴力的なライブをしているわりに、『Flesh and Blood』は暴力的なサウンドではなかった。それをどう閉じ込めるか課題だった」と篠田。「Iron」は山田健人の映像アイデアから生まれたものだといい、池貝は「"われわれらしさとは何か"を否定した曲かもしれない」「関係者の方々からはありがたいことに順風満帆と言われることが多いんですが、僕らが出したものが自分たちじゃないものになっていくという感覚と去年は戦っていて」と語る。

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もともとyahyelは「匿名性」をコンセプトにし、年齢や性別、人種を越えた"個"を打ち出す音楽性を追求してきた。池貝は、「僕らには本当に必要なことだった。個人に伝えたいから雑音を消すためにいらないところを削っていこうという方法を採っていたんですけど、あまりにもそっちが出てしまう。結局、"中"までなかなかいかない。本当に僕らの実力不足なんですが、その感覚とすごく戦っていたというテーマがメンバー各自にそういう感情が一番出た曲が『Iron』だと僕は思っています」と今作でアイデンティティを突き詰めた背景に触れ、「いい転換だった」と前向きに思い返した。

時に笑いを交え、各楽曲への思いを丁寧に伝えた池貝と篠田。約80分にわたるイベントを終え、Twitterでは「貴重な時間をありがとうございました」「すごく有意義な時間だった。胸いっぱいです」「めっちゃしゃべるメンバーさんも新鮮だった」といった声が書き込まれている。

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■2ndアルバム『Human』(2018年3月7日発売)
1. Hypnosis
2. Nomi
3. Rude
4. Battles
5. Polytheism - feat. Kim Ximya
6. Acedia [Interlude]
7. Body
8. Iron
9. Pale
10. Lover