東京急行電鉄は24日、今春導入する田園都市線の新型車両2020系、大井町線急行用の新型車両6020系の報道公開を実施した。あわせて「世界に一つだけのオリジナル中吊りポスター」制作イベントも開催された。

  • 東急電鉄が大井町線急行用の新型車両6020系、田園都市線の新型車両2020系を報道公開

新型車両2020系・6020系は総合車両製作所の製造。2020系は10両編成を3編成(以降も順次導入予定)、6020系は7両編成を2編成導入する。東急電鉄は2020系に関して、「2020年の東京オリンピック、さらに2022年の当社創業100周年に向けて、田園都市線により親しみを持っていただき、沿線の街や駅と調和する車両とすることを目的に命名し、導入する」と発表している。

2020系のデザイン監修は東急線沿線の商業施設なども手がける丹青社が担当した。外観はコンセプトカラー「INCUBATION WHITE」(美しい時代へ孵化していく色)を用い、丸みを帯びたやわらかみのある顔をイメージした先頭形状を特徴とする。

2020系・6020系ともに車内の座席は背もたれの高いハイバック仕様。床面はフローリング調となり、日常の通勤・通学で少しでも安らぎや憩いを感じられる電車となることをめざしたという。荷棚は低い位置へ変更され、荷物の積み下ろしを行いやすい形状に。車いす・ベビーカー利用者に配慮したフリースペースを全車両に設置した。

  • 田園都市線の新型車両2020系の車内。座席上に3連液晶ディスプレイが設置された

  • 大井町線の新型車両6020系の車内。6020系・2020系ともに床面はフローリング調

車内のデジタルサイネージで多言語案内の充実を図るとともに、ニュース・天気予報などの情報サービスも提供。6020系の液晶ディスプレイはドア上のみだが、2020系ではドア上に加えて座席上に3連、さらに連結部にも液晶ディスプレイを配置した。車内環境改善のため、東急電鉄では初という「ナノイー」方式の空気清浄機も設置する。

安全性の向上にも努め、車両機器をつねに監視できる大容量情報管理装置を設置することで車両故障の未然防止、運行のさらなる安定化を図るとしている。踏面ブレーキとディスクブレーキの併用でブレーキ性能も向上。低騒音型の主電動機や駆動装置を採用して沿線環境および車内空間の騒音を低減し、次世代半導体素子を用いた制御装置による主電動機の高効率駆動や、車内の全照明と前照灯・尾灯に採用したLED灯などで使用電力も削減している。車内犯罪行為を未然に防止するため、車内防犯カメラも設置した。

報道公開では2020系と6020系の違いに関する説明もあり、「2020系と共通の設計ながら3両抜いた7両で走れるような仕様とし、大井町線の急行専用とした車両が6020系。帯は田園都市線用の2020系がグリーン、大井町線用の6020系がオレンジとなります」とのこと。液晶ディスプレイについては「田園都市線は都内へ直通し、広告も付くことから3連ディスプレイなど導入しました。大井町線は(新車の導入が)この2本で一旦とどまることもあり、3連ディスプレイは導入しないということになりました」と説明していた。

新型車両は3月末めどにデビュー、特別列車も運行へ

新型車両2020系・6020系が公開された後、小学生たちが2020系の中吊りポスターを描く「世界に一つだけのオリジナル中吊りポスター」制作イベントも開催された。田園都市線沿線在住の親子を中心に約30組が参加し、2020系の車両と沿線の街並みをテーマに自由に絵を描き、約2時間で完成。2020系をバックに記念撮影も行われた。

  • 「世界に一つだけのオリジナル中吊りポスター」制作イベントで2020系の絵を描く小学生たち。2020系のグリーンのラインもしっかり描いていた

今回のイベントで描かれた作品は、2020系のデビュー後、約1カ月間の期間限定で運行される特別列車(1編成)に中吊りポスターとして展示される。「鉄道と街の歩み」をテーマとした特別列車では、中吊りポスターの他に車内の3連液晶ディスプレイも活用し、田園都市線沿線の歴史をたどる特別ムービーが放映される予定だ。

東急電鉄は2020系3編成、6020系2編成を一斉に導入予定としており、具体的な運行開始時期について「3月末をめどに進めているところ。各種調整が取れ次第、後日発表したい」とのことだった。同社は3月30日に田園都市線・大井町線など5路線でダイヤ改正を実施し、田園都市線は列車増発などによるオフピーク通勤・通学の推進と混雑の平準化、大井町線は急行用車両の7両編成化による輸送力増強を図るとしている。

  • 田園都市線の新型車両2020系の外観・車内

  • 大井町線急行用の新型車両6020系の車内・外観