脚本家・三谷幸喜によるアガサ・クリスティー原作のスペシャルドラマが、フジテレビ系で再び放送されることが15日、明らかになった。狂言師・野村萬斎が主人公で再登板する『黒井戸殺し』が、今年4月に放送される。
今回のドラマは、アガサ・クリスティーが1926年に発表した人気長編推理小説『アクロイド殺し』を日本で初めて映像化するもの。2015年に、クリスティーの名作『オリエント急行殺人事件』(視聴率:第一夜16.1%、第二夜15.9% ※ビデオリサーチ調べ・関東地区)を手がけた三谷によって『黒井戸殺し』として制作され、三谷は「あの名作『アクロイド殺し』のドラマ化に関われるのは、クリスティーファンの脚本家にとっては最高の喜びです。ミステリーの女王に敬意を表し、設定を日本に移した以外は、極力原作に忠実に脚色してみました」と語る。
『黒井戸殺し』の主人公は、『オリエント急行殺人事件』同様、狂言の第一人者と言われている野村萬斎演じる名探偵・勝呂武尊(すぐろ・たける)。野村のドラマ出演は『オリエント急行殺人事件』以来、約3年3カ月ぶりとなる。その勝呂の良き相棒としてコンビを組み、事件の謎に立ち向かっていく医師・柴平祐を演じるのは、三谷作・演出による舞台『ベッジ・パードン』(11年)で萬斎と同じ舞台には立っているものの、テレビドラマでの共演は初めてとなる大泉洋だ。
野村は「前回の『オリエント急行殺人事件』の時より、人間味の増した勝呂になったのではないかと思います」と手応え。バディ役を組む大泉については「セリフの量もかなり多かったのですが、いつもにこやかに明るく撮影現場を盛り上げてくれました」といい、「一緒にあぜ道を自転車で走るシーンがあり、偶然、勝呂が自転車から転げ落ちるシーンの倒れ方がチャップリンみたいになったところが、とてもおもしろかったです」とエピソードを明かした。
その大泉は、野村の印象について「どんな役をやっても強力な印象を残すお芝居が大好きだったのでとてもうれしかったです。撮影中は、ずっと聞いてるとドンドン勝呂のキャラのとりこになり、最高に楽しい毎日でした」とご満悦。今作は「原作を知らずに三谷さんの台本から読んだので、ストーリーの面白さに興奮しながら読みました」と絶賛している。
さらに、豪華共演者が集結。三谷作品初出演となる、余貴美子、草刈民代、向井理、佐藤二朗、和田正人に、三谷ドラマ初出演の寺脇康文。常連組の浅野和之、秋元才加。そして、大河ドラマ『真田丸』にも出演していた大泉をはじめ、吉田羊、松岡茉優、藤井隆、今井朋彦、斉藤由貴、遠藤憲一らがそろい踏みした。
物語の舞台は、昭和27年3月の片田舎・殿里村。唐津佐奈子(吉田)が死亡しているのを、村で唯一の医師である柴平祐(大泉)が発見した。死因は睡眠薬の過剰摂取。佐奈子は昨年、夫を毒殺した疑惑があり、柴の姉・カナ(斉藤)は、佐奈子が夫殺害の罪にさいなまれ自殺したのでは、と推測する。
その佐奈子に結婚を申込でいた村の名士・黒井戸禄助を演じるのが遠藤。向井は黒井戸禄助の義理の息子・兵藤春夫、松岡は禄助の姪・黒井戸花子、秋元は黒井戸家の女中・本多明日香、和田は謎の男、寺脇は黒井戸の秘書・冷泉茂一、藤井は黒井戸家の執事・袴田次郎、今井朋彦は黒井戸禄助の旧友である作家・蘭堂吾郎、浅野は鱧瀬弁護士、佐藤は警部・袖丈幸四郎、草刈は禄助の義妹・黒井戸満つる、余は黒井戸家の女中頭・来仙恒子役で登場する。
フジテレビの渡辺恒也プロデューサーは「原作既読の方にとっても、三谷さんならではのユーモラスな人物像と事件推理へのアプローチが光る実写化によって、新鮮に楽しんでもらえる作品になっています」と見どころを語っている。
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