社会人となれば会社役員や大切な取引先との会食など、食事のマナーが問われることもあると思います。この重要な一席で粗相をしてしまうと、自身の評価が大きく下がったり、取引をダメにしてしまうということもあるかもしれません。特にマナーにうるさい上司や取引先の場合、その危険性は非常に高くなります。

本稿では、料亭など厳しい作法を要求される会席料理について思わずやってしまいがちなマナー違反について紹介していきます。

食事の作法とは長年の伝統によって培われてきたものです。相手への気遣いで今まで、普通に行っていた行為が実は、マナー違反だったということはよくあること。今回は、その中でも特に有名なマナー違反をピックアップしてみました。

その1、食材からタレや汁が落ちないように手皿を使う

汁物や刺身のように小皿にタレをつけて食べる一品を箸でつまんで口に運ぶとき、汁やタレなどが垂れないように掌を皿のよう使う「手皿」。一見、上品そうに見えますが、これは和食ではマナー違反とされます。和食では、器を手に持って食事をするのが基本です。タレなどが垂れそうなときは、手皿ではなく小皿を直接手に持って口に運びましょう。

  • 和食のNGマナー 、その1

その2、盛皿から「返し箸」で料理を取り分ける

大皿で料理が出されたとき、取り箸がない場合、自分の箸で直接とるのは衛生的にまずいということで、箸を逆さに持って取り分ける通称「返し箸」もしくは、「逆さ箸」をする人がいますが、これも和食ではマナー違反にあたります。この場合は、取り箸を要求するか、周囲に断りを入れて直箸で取りましょう。

  • 和食のNGマナー 、その2

その3、食べ終えたお椀の蓋を裏返してお椀に乗せる

お椀の汁物を飲み終えた際、それがわかるように蓋を裏返して置く人がいます。これも和食のマナー違反になります。また、お店にもよりますが高級店では漆塗りの高価なお椀が使われている場合がありこの行為でお椀の漆に傷をつけてしまうこともあります。正しい作法はそのまま普通に蓋を載せるだけでかまいません。

  • 和食のNGマナー 、その3

その4、汁物にアサリやシジミが出た場合、お椀の蓋を殻入れに使ってしまう

お椀の汁物でアサリやシジミの汁物が出た場合、食べた後の殻をお椀の蓋に入れるのは、見た目もよくなくマナー違反です。和食のマナーでは貝殻は外に出さずそのままお椀の中に入れたままにしておくのが作法になっています。

  • 和食のNGマナー 、その4

その5、食べ終わった器を重ねる

食べ終わった後、片付ける人に気を使って器を重ねる人がいます。この行為もマナーにかなった行為に見えますがNGです。器は陶磁器がよく使われますが、以外に傷ついたり割れたりすることが多いのです。特に和食の高級店では非常に高価な器を利用している場合が多いので、このような行為をされると店の方も少々ヒヤッとされるのではないかと思います。和食のマナーでは、器の蓋を元の器に戻しそれ以外の器や椀はそのままの状態にしておきます。

  • 和食のNGマナー 、その5

今回は、気遣いから知らずやってしまっていた勘違いマナーを五つほどピックアップして紹介しました。ですが、これら小さなマナー違反なら、よほどテーブルマナーに厳しい人でなければ指摘されるだけで評価まで下がることはないでしょう。むしろ、これらの小さなマナー違反に気を付けるよりも、食事作法の基本がしっかりできていることの方が大事です。これを期に一回、自分の食事作法を見直してみてはどうでしょうか?