――流牙、猛竜、哀空吏の魔戒騎士3人のバランスもすごくよかったですね。
栗山:2人とは『闇を照らす者』のときから全く変わらない関係性を保つことができました。
雨宮:莉杏(演:南里美希)も含めみんな自然体で、いい演技をしてくれていますよね。
栗山:そうですね。飾ることもないし、変化したところも全くないです。5年前と変わらず、それぞれがスッと役に入れましたね。
雨宮:いま、2人がいないから言うってことじゃないですけれど、2人よりも流牙のほうが"上のステージ"にいるんです。ド頭にアクションシーンを入れて、「この作品の主役はこんなアクションをやりますよ」と見せるのは、僕が映画を作るときの流儀なのですが、通常の「牙狼」シリーズだと最初に魔戒騎士がホラー退治をして……という流れなので、猛竜と哀空吏はそれをやるんです。でも流牙だと違うなと思って、イメージの世界、精神世界で修行をしているというシークエンスを持ってきたわけです。ほかの2人には、まだそこまで行けていないという。「ガロ」はやっぱり別格の存在であり、その中で、流牙の気持ちが少しブレている……というところを描きたかったのです。
――流牙の最大のライバルというべきジンガの「復活」も映画の大きなトピックスとなりました。ジンガ役・井上正大さんとのふたたびの共演についてはいかがですか。
栗山:まーくん(井上)は『牙狼』への愛が深い人で、一緒にやっていて楽しかったです。ジンガと流牙は、いまどういう気持ちで立っているんだろうとか、お互いに意見交換をしながら撮影していきましたし、僕らが思ったことを監督にぶつけました。
雨宮:そうだった。栗山や井上の意見を聞いて、そこから台本を書いたりしたこともあったなあ。台本の最後の部分、流牙とジンガの対決場面なんていうのは、現場に入ってから書いているんですよ。最初に渡した台本ではそこが空白になっていたから、たぶん2人とも不安なんだろうなと思っていました。キャラのセリフというのはカメラが回る直前まで考えられるので、ギリギリまで時間が取れるんです。だから最後のほうで栗山と井上が僕に同じ質問をしてきたので、逆になるほどと思っていました。でも、最後の改訂稿ができてからはお互いにスッキリしてゴールが見えたよね。
栗山:はい。撮影する前に監督に相談できたので、不安がなくなったというか、すごくいい気持ちで撮影に入れたんです。まーくんもそうだったと思います。
雨宮:映画を作るときは、監督も俳優もみな平等だと思ってるんです。一応、僕が監督なので"偉い"ということになっているんだけど(笑)。だから、みんなの意見はなるべく聞くようにしています。採用するかは別ですよ。僕もどんどん追加のアイデアを考えたりしますし。