早いもので2017年も残りわずかです。年が明ければ2018年。今回は2018年から新しく始まる制度やいくつかの税制改正の内容について見ていきたいと思います。
2018年から配偶者控除と配偶者特別控除の見直し
安倍内閣の基本方針である「一億総活躍社会」の実現ためのキーワードの1つが「働き方改革」です。税制面からも働き方改革を後押しするものとして、配偶者控除が見直されました。
これまで、パートで働く主婦の間で意識されていた配偶者控除の上限は年収103万円。この控除を受けるために、パート収入が103万円を超えないように働く時間を抑える傾向があり「103万円の壁」と呼ばれています。そこで、配偶者特別控除を拡大することで、就業時間を調整することなく働ける仕組みを構築する目的で、配偶者控除及び配偶者特別控除が、2018年1月以降改正されます。
例えば、主な稼ぎ手である夫が会社員で妻がパートの場合、今までは妻のパート年収が103万円以下の場合、配偶者控除は一律38万円ですが、2018年1月以降は夫の年収が増えると控除額が減少するようになり、夫の年収が1120万円を超えると控除額が0になります。夫が高所得者である場合には増税されるというわけです。
配偶者特別控除は、妻のパート年収が130万円を超えた場合に配偶者控除ではなく、配偶者特別控除を利用できますが、こちらも夫と妻の年収により控除額が異なり、妻の年収は150万円以下、夫の年収は1120万円以下で、最大で38万円控除されます。
つみたてNISA制度が始まる
一年間に一定金額以下の投資で得た利益が非課税となる少額投資非課税制度、通称NISA。今までのNISAに加えて、2018年1月から「つみたてNISA」制度が始まります。
つみたてNISAとは今までのNISAと同様に、投資した値上がり益や配当金・分配金にかかる税金が非課税になります。一般NISAが通常買付・積立方式どちらも運用できるのに対して、つみたてNISAは積立方式のみが非課税の対象となります。
主な特徴としては、
(2)非課税期間が最長20年と長い
(3)投資対象が投資信託に限られる
という3つが挙げられます。
ただし、現行のNISAとつみたてNISAは選択性となっており、どちらかを選択しなければなりません。どちらかを選択すると年内は変更することができなくなります(年ごとに変更することは可能)。長期運用を見据えて積立でコツコツ資産形成したいという人や、無理のない金額から積立投資を始めてみたいという投資初心者の人にオススメです。
iDeCoの拠出限度額が月単位から年単位の拠出へ
自分で作る「じぶん年金」として注目されている個人型確定拠出年金(iDeCo)は、拠出額を自分で決めることができますが、加入者の立場によって月単位で拠出できる上限額(拠出限度額)が決まっています。
2018年1月から、この拠出限度額が月単位から年単位に変更されます。この変更によって、ボーナスの時期に拠出ができる、余裕がある月には拠出額を多くすることができるなど、マネープランを立てやすくなるのが特徴です。
例えば、会社員で企業年金がない場合に毎月は5,000円ずつしか拠出できなかったとしても、ボーナス時期には最大2万3,000円できるようになるなど、拠出額を年単位で考えればいいのでより柔軟に拠出ができるようになります。毎月決まった金額を拠出できるか心配という人も利用しやすくなります。
2018年夏から現役並み所得者は介護保険料3割負担に
原則1割を自己負担することになっていた、居宅介護支援や短期入所介護などのような介護保険サービスの利用料は、2015年8月からは単身世帯なら年金などの所得が年280万円以上など「一定の所得のある人」は2割負担となっています。
それが2018年8月から、単身世帯なら年金などの所得が年340万円以上などの「現役世代並みの所得の人」は3割負担となります。対象は利用者の約3%と見込まれています。
また、今回の改正により、40~64歳の現役世代で収入が多い人の介護保険料負担も増します。介護保険料は原則、職場の医療保険運営者を通じて納めており、運営者ごとの負担は加入者数に応じて決まっていましたが、これが加入者の収入の総額に応じて決まる方式になります。この方式により大企業の会社員や公務員の加入者の負担額が増え、中小企業の会社員の負担額が減る見通しとなっています。