中部国際空港は12月4日、中部国際空港の敷地内に2018年夏開業予定の新複合商業施設「FLIGHT OF DREAMS」に関して、展示エリアの構想を発表。チームラボがコンテンツを全面的にプロデュースする1階の展示エリアではANAとJALもスポンサーとして協賛し、両社のコンテンツを含める10程度のコンテンツを展開する。

  • (左から)中部国際空港の友添雅直代表取締役社長、JALの大川順子代表取締役専務執行役員、ANAの志岐隆史代表取締役副社長、チームラボの猪子寿之代表取締役社長

    (左から)中部国際空港の友添雅直代表取締役社長、JALの大川順子代表取締役専務執行役員、ANAの志岐隆史代表取締役副社長、チームラボの猪子寿之代表取締役社長

商業エリアにはシアトルを再現

FLIGHT OF DREAMSは、米航空機メーカー・ボーイングより寄贈されたボーイング787初号機(ZA001)の屋内展示をメインとした新複合商業施設であり、実機展示はこの787初号機のみとなる。建築面積約6,500平方メートル・延床面積約1万1,000平方メートル・高さ約24mの空間に、1階から4階までの各階で風景や楽し方が異なるエリアを展開する。

  • 「FLIGHT OF DREAMS」のイメージ

    「FLIGHT OF DREAMS」のイメージ

1階を実物展示エリアとし、実機の周りには航空機産業や航空業界について体験を通じて学べるコンテンツを展開するほか、米国外初となるオフィシャルボーイングストアを設置する。2,3階にはボーイング創業の街・シアトルの街並みをイメージした商業エリアを、4階には実機展示と実機とコラボしたコンテンツを観覧できる観覧スペースを設ける。1,4階は展示エリアのため有料となるが、2,3階の商業エリアは入場無料での展開を予定している。

  • 1階は実機展示エリア

    1階は実機展示エリア

FLIGHT OF DREAMSはボーイングやシアトルからも協力を得て展開し、施設内ではシアトルの街並みを疑似体験できる空間やシアトルを紹介する展示も予定。なお、シアトルにある航空博物館「ミュージアム・オブ・フライト」などと連携した展示などは、現在構想していないという。

特に2階では、シアトルを中心としたアメリカンテイストの飲食店・物販店を設け、787初号機の翼を頭上に眺めながら食事ができるフードコートも展開する。3階では、シアトル発祥の日本初進出となるレストラン&バー「THE PIKE BREWING RESTAURANT&BAR」と、カフェ「スターバックス コーヒー」を中心とした商業エリアを展開する。

  • 2階の商業エリアにはフードコートも設置する

    2階の商業エリアにはフードコートも設置する

  • 3階にはシアトルを感じる飲食店・物販店をそろえる

    3階にはシアトルを感じる飲食店・物販店をそろえる

ありえない飛行体験の演出も

1階の展示エリアでは、チームラボの全面的なプロデュースによるインタラクティブな体験ができるコンテンツを展開する。全部で10程度のコンテンツを予定しており、それぞれのコンテンツはチームラボとしても初めての取り組みになるものが多くそろう。今回の展示に関してチームラボの猪子寿之代表取締役社長は、「単純に飛行機が飛ぶということだけではなく、デジタルとの融合を通じて能動的に参加できるコンテンツを作る」と話す。

12月4日に発表されたコンテンツは、ANAが協賛する「超体感演出」と「お絵かき飛行機」、JALが協賛する「紙ヒコーキを飛ばす」と「お仕事体験」の4つ(コンテンツ名は全て仮称)。なお、コンテンツとは別に新明和工業が協賛した企画も予定しており、現在、コンテンツ協賛も含め、幅広くスポンサーを募集している。

  • 「超体感演出」のイメージ

    「超体感演出」のイメージ

「超体感演出」は、787初号機と空間全体を使ったプロジェクションマッピングであり、まるで飛行機が飛んでいるかのような没入感が感じられる「超体感」演出となる。巨大な壁を映像にし、実際のフライトでは実現不可能なところを飛行しているような演出を予定している。このコンテンツは4階からふかん的に楽しむものとなる。

  • 「お絵かき飛行機」のイメージ

    「お絵かき飛行機」のイメージ

「お絵かき飛行機」は来場者が紙にクレヨンを用いて描いた飛行機が、宇宙空間を模したドーム内を飛び回るというもの。目の錯覚を利用することで、立体的な映像が楽しめる。さらにタブレットを使えば、パイロット目線で空間を飛行する疑似体験も可能。ふたつの視線から飛行機を楽しめる"見たこともない飛行体験"を促す。

  • 「紙ヒコーキを飛ばす」のイメージ

    「紙ヒコーキを飛ばす」のイメージ

「紙ヒコーキを飛ばす」では、紙飛行機を折って光のゲート空間に飛ばし、飛ぶ仕組みの理解を深めるコンテンツ。紙飛行機がレーザーのレイヤーを通過すると光が変わるとともに、紙飛行機が楽器のように音を奏でる。そのため、みんなで紙飛行機を飛ばすことで、その場限りの演奏体験もできる。

さらに「お仕事体験」は、パイロット・CA・整備士など航空会社の仕事をヴァーチャル体験できるコンテンツで、現在、その構想を深めている。それぞれのコンテンツは子どもも楽しめる内容を予定しており、飛行機ファンのほか、親子連れも気軽に体験できるものを目指している。

日本初の公開大移動

FLIGHT OF DREAMSの機運を高めるイベントとして、12月17日には787初号機の大移動を実施する。同機は現在、中部国際空港内の制限エリアにあり、約900m先にあるFLIGHT OF DREAMSまで、公道封鎖(公道は迂回路を設置)した上で移動を行う。

  • 787初号機の大移動は12月17日に実施

    787初号機の大移動は12月17日に実施

機体の移動(トーイング)はANA中部空港株式会社が実施し、移動経路途中の臨時駐車場で一時駐機することで、一般の人も間近で見学・撮影できる時間を設ける。日中に移動する理由として中部国際空港の友添雅直代表取締役社長は、翼と壁の距離は70cm程度と精密な操作が必要になることも含め、安全・安心を優先したためとしているが、他に例のない一大イベントを多くの人々に見てもらいたいという思いもあると話す。

  • 大移動は一部公道を封鎖しながら、半日かけて行う

    大移動は一部公道を封鎖しながら、半日かけて行う

  • 空港内の駐機場から約900m先にあるFLIGHT OF DREAMSまで

    空港内の駐機場から約900m先にあるFLIGHT OF DREAMSまで

移動開始は11時30頃(荒天の場合、翌日以降に延期)、見学場所は中部国際空港内臨時駐車場の一部または飛行機の見える丘公園の一部を予定している。見学者が多数になった場合は人数を制限する場合もある。イベント詳細はFLIGHT OF DREAMSオフィシャルサイトにて、12月8日に発表を予定している。

また、中部国際空港の開港日でもある2018年2月17日には、JALの協力の下、787スペシャル見学会を実施する。中部国際空港で運航中の機体(中部国際空港発着のバンコク便を予定)を間近で見学するとともに、ボーイング787のJAL現役パイロットによる航空教室を開催する。イベント詳細はまた追って、オフィシャルサイトにて発表する。

  • 2018年2月17日には、787見学会と787のJAL現役パイロットによる航空教室を開催

    2018年2月17日には、787見学会と787のJAL現役パイロットによる航空教室を開催

「産業観光の起爆剤に」

同じ愛知県内には、11月30日に名古屋空港にて「あいち航空ミュージアム」「MRJミュージアム」がオープンし、岐阜県には「かかみがはら航空宇宙科学博物館」が2018年3月24日にリニューアルオープンとなる。

中部国際空港としては、今回の世界の翼であるANAとJALの協賛を通じて、海外の人にも広くアピールすることも狙っている。中部国際空港の友添氏は、「航空・宇宙産業のメッカとしてそれぞれの魅力を発揮するとともに、産業観光の起爆剤になることを願っている。若い人たちの空への想いを育てるとともに、中部の航空・宇宙産業を盛り上げるという同じ目的で展開しているのだから、それぞれの施設をめぐることや連携したイベントを展開するなど、何らかの連携ができればと考えている」とコメントしている。