トヨタ自動車は27日、クルマの電動化技術に関する報道向けの説明会を都内で開催した。展示されたのは、20周年を迎えたハイブリッド車(HV)「プリウス」でトヨタが培ってきた技術の数々。モーターやインバーターなど、HVのコア技術は多くが電気自動車(EV)にも転用可能とのことなので、同社が保有する技術や工夫は、今後のEV開発にもフル活用されるのだろう。
ハイブリッドで1,000万台の実績、電動車両は全方位で
すでにトヨタは、多様な電動車両をラインアップしている自動車メーカーだ。累計1,000万台以上を販売したHVはもちろんのこと、外部からの充電が可能なプラグインハイブリッド車(PHV)の「プリウスPHV」や、水素で発電して走る燃料電池自動車(FCV)「ミライ」といった商品も展開している。EVについては海外勢に比べ遅れているとも言われる同社だが、これまでに「RAV4 EV」や「eQ」などの商品を手掛けてきた経緯があるし、今後は中国やインドなどにも商品を投入していくとのことだ。
では、トヨタにとって何が次世代エコカーの主力となるのか。説明会に登壇したトヨタ常務理事の安部静生氏は「それを決めるのはユーザー」(以下、発言は安部氏)とし、需要のあるカテゴリーに顧客の望む方式の電動車両を用意していく姿勢を鮮明にした。
基本的には全方位の開発を続けていくのがトヨタのビジネスだ。ただし、「規制の動向次第で、規制にミートする環境性能をどのクルマで実現できるかという観点でいえば、エンジンだけで走るクルマが今後、つらくなるのは間違いない。HVでも環境性能が足りなくなる時代がくるかもしれない」とも安部氏は付け加えた。
さて、気になるEVについてのトヨタの考え方だが、安部氏は航続距離400キロの日産自動車「リーフ」が登場するなど、“普通のクルマ”になりつつあると言われるEVの現状については「まだまだ足りない」と指摘した。これは単純に航続距離の長短を語った言葉ではなく、使い勝手に向上の余地があるという話だ。