矢野経済研究所は11月28日、「国内企業のIT投資に関する調査(2017年)」の結果を発表した。調査は7月~10月、国内の民間企業、および公的団体・機関等を対象に、郵送アンケートおよび文献調査併用にて行われた。

2017年度以降はITやIoTが投資対象に

  • 国内民間IT市場規模

    国内民間IT市場規模推移と予測

2017年度における国内民間企業のIT市場規模(ハード・ソフト・サービス含む)は、前年度比2.0%増の12兆1,170億円と予測。さらに、2018年度は12兆3,000億円(前年度比+1.5%)、2019年度は12兆4,000億円(同+0.8%)に達するとしている。

市場を牽引してきた金融機関を中心とした大型の基幹システム等の更新・開発案件が2016年度にピークアウトしたため、国内民間企業のIT市場規模は拡大基調にあるものの、そのスピードは2017年度以降、緩やかになると予測。2017年度以降はAIやIoTの分野が投資対象となっており、これらのテーマを中心に大手ITベンダーのシステムインテグレーションビジネスの堅調な推移につながっていくものと見込んでいる。

また、セキュリティの強化やワークスタイル変革、東京オリンピック・パラリンピックの開催に向けたシステム開発案件、Windows7のサポート終了(2020年1月予定)によるパソコンのリプレイスなども市場の成長を後押しするとのこと。

4割超の企業でIT活用の割合が増加

同調査では、国内民間企業のIT投資市場規模について、経済産業省および総務省の調査を基に、同社が実施した、民間企業に対するIT投資に関するアンケート調査(国内民間企業および公的機関・団体517件を対象)に結果を加味し、国内民間企業のIT投資額ベースにて算出している。

  • 新商品/サービスの開発に向けたITの関与割合の変化

    新商品/サービスの開発に向けたITの関与割合の変化(4~5年程度前との比較)

この法人向けアンケートにおいて、新商品/サービスの開発などにITが関与する割合の変化を4~5年程度前と比較して尋ねたところ、「大きく増えた」は7.5%、「少し増えた」が33.1%と、実に4割を超える企業が新商品/サービスなどの開発などで、これまで以上にITを活用していることが明らかに。特に、「加工組立製造業」や「金融業」でこの傾向が顕著になっていることから、インダストリー4.0やフィンテックが影響したものと考えられる結果となった。