今年もこの季節がやってきた。11月の第3木曜日、ボージョレ・ヌーヴォーの解禁の日である。2017年は恒例の0時に乾杯! となるオフィシャルイベントはなく、陽が昇ってから記者発表兼ねての乾杯となった。さて、どのような仕上がりとなっているだろうか。

2017年のボジョレー・ヌーヴォーの出来栄えは?

「乾燥」に見舞われた今年のボジョレー・ヌーヴォー

解禁イベントが開催されたのは、表参道の「COMMUNE 2nd」(東京都港区)。国籍様々な老若男女が昼に夜に集い、好き勝手に飲んだり食べたりができるボーダレスな屋外スペースである。この会場では11月16~18日の間、ボジョレー・ヌーヴォーを存分に楽しめる「ボジョレ祭り」を開催している。

日本におけるボージョレ・ヌーヴォーは、2010年から2016年までの輸出金額が6%アップしているものの、2013年からの輸出量はマイナス6~10%まで落ち込んでいる。ただでさえ若者のアルコール離れが著しい昨今、この流れを払拭する一手段としてこの場所を選んだのは分かる気がする。

表参道の「COMMUNE 2nd」(東京都港区)では、「ボジョレ祭り」が開催されている

来日したボジョレワイン委員会代表のジャン=マルク・ラフォン氏によると、今年のボージョレ地区を一言で表すと「乾燥」。南の地区は冬に霜、北の地区は夏に雹の影響があり、かつ全域が非常に暑い夏になって、ブドウにとっては過酷な状況となったそうだ。ヨーロッパ全域がこの傾向にあり、全体的に難しいヴィンテージになりそうである。

ボジョレワイン委員会代表のジャン=マルク・ラフォン氏

ただ、ボジョレ地区には収穫前に恵みの雨が降ってくれたため、最後はみずみずしさを取り戻せたとのこと。暑い夏で「甘みが乗ったブドウ」に、恵みの雨の「みずみずしさ」でどうやら帳尻があったようである。

発表会には、歌舞伎俳優の二代目尾上松也氏も登壇した

色は濃厚なルビー色、香りはヌーヴォーらしいラズベリーやイチゴを思わせる。口に含むとブドウの凝縮感、しっかりとした酸とタンニンが押し寄せてきた。余韻も長く、困難な年とは思えない出来だ。ボージョレ・ヌーヴォー誕生から今年で67年、この間にワインを造る人々の情熱は変わらずとも、どんなに過酷な気象条件にも負けない技術とテクノロジーの進化があったんだなぁとつくづく実感させられる。

会場には数多くのボジョレー・ヌーヴォーが勢ぞろい

四季や伝統を大事にする日本。それは「祭り」という形でしばしば具現化される。ゲストで登壇した歌舞伎俳優の二代目尾上松也氏は、「毎日のように舞台に立っていると曜日も季節もわからなくなる。でもヌーヴォーの声を聞くと秋を実感する」と話す。

ボジョレー・ヌーヴォーが初めて日本に輸入されてから32年。「豊満で朗らか、絹のようにしなやか。しかもフレッシュで輝かしい」と称される、今年のヌーヴォーを楽しんでみてはいかが? 追ってその出来具合をレビューしたい。