ブランド力の維持・向上が課題に

17年にわたったゴーン長期政権から今年4月に西川体制に移行した日産だが、10月16日には「次期中期経営計画」を発表することにしている。さきにゴーン氏がルノー・日産・三菱自連合の中期計画を発表しているが、このアライアンスの中核をなすのは日産なのである。

昨年10月に資本参加して傘下に収めた三菱自動車が、このアライアンスに加わるきっかけとなったのが排ガス不正問題であった。度重なるリコール不正に続く排ガス不正で三菱自動車への信頼・信用には傷がつき、ブランドを失墜させた。今では「日産流改革」を導入している三菱自動車からは、教訓を得られた側面もあったはずだ。

西川社長は、無資格の従業員による完成検査が見過ごされていた原因について「工程そのものの意味が十分に認識されていなかったところが大きい」とした。「今後、1カ月かけて原因やその背景にある要因、従業員の意識を含めて徹底的に検証した上で対策を立てたい」との対応策を説明したが、販売店を含めた消費者が納得できる方策を早期に打ち出すことも重要である。

やはり、販売会社の困惑や日産ユーザーの不安感の払拭を最優先にしなければ、日産ブランドの失墜にもつながりかねない。今回の問題は、海外では安全性を審査する制度が異なるため輸出向けの車両は除外され、あくまでも国内向け車両ということである。

旧日産からの大転換で「外資になった」とも言われる日産。西川体制では、ルノー・日産・三菱自の大連合の中核として、「襟を正しつつ」ブランド力を向上させることも課題となった。