司馬遼太郎による名作『関ヶ原』が、原田眞人監督&主演・岡田准一のタッグによって映画化され、8月26日に公開される。2015年には第38回アカデミー賞で最優秀主演男優賞&最優秀助演男優賞をW受賞し、演技力への評価も増すばかりの岡田だが、この戦国大作にはどのような気持ちで挑んだのだろうか。一般的な石田三成とは違う、歴史好きが満足できる石田三成像を構築した岡田に、今回の演技について、作品について、そして今後について話を聞いた。
新たな石田三成像を
――今回は一般的な石田三成像ともまた違う三成像でしたが、岡田さんはどのように捉えられていましたか?
最近は三成も評価され直してきてますけど、歴史好きとしては一般的な三成像と本来の三成は違ったと思うんです。物語としては悪役になりやすいですし、官僚イメージも強いんですが、実は肖像画も何パターンかあって、ちょび髭のイメージもあれば、ヒゲが豊かで恰幅のいいものもあります。今回はどちらかというと後者のイメージで、自分が思う三成像や思いを込められた作品になっていると思います。ただ、昔出演した作品の中で対立した覚えがあるので、三成公に嫌われていないか心配で、お墓に行ってご挨拶し、本人が喜んでくれたらいいなと思いながら演じていました。
――それほど一人の人物として、見ていたんですね。
今の人たちが見ても、生きている人間として違和感がないようになればいいなと思っていました。強さも弱さも良いところも悪いところも全部兼ね備えている人に見えたらいいなと。
――ちなみに自分だったら、東軍と西軍どっちにつきますか?
……自分だったら!? 自分はどうだろうな、どっちにつくんだろう。誰と仲がいいとか、誰に恩があるとかの関係性や恩義がある方にはつくと思います。もしかしたら、家康と仲良い場合もありますからね(笑)。
「思惑渦巻く関ヶ原」というのが1番正しい言葉だと思っていて、実際の戦いで動き出したわけじゃなくて、生き残るために何年も前からみんな動いているから、その数年間がないと、どっちにつくかわからないですかね(笑)。
――一番こだわって演じた部分、大事にした部分はどのような点ですか?
実際の戦国武将像と、現代でみんなが想像する戦国武将像って、違う部分があると思うんですよ。武将は子供の頃から英才教育を受けた職業軍人だと思うので。あとは人間味がある人になればいいな、複合的に演じられればとは思ってました。性格が悪いとこもあるし、弱いところや愛情を見せるシーンも多かったですし、一側面だけを演じるつもりはなく、「人間・三成」が死んでいく話、負ける話なので、そう見えるよう心掛けて演じました。でも、演じていて本当に勝てるんじゃないか、今回の関ヶ原は勝つんじゃないかという気持ちで戦っていました。