取引で注意したい点

1万円前後から投資を始めてみたいという初心者にはうってつけのミニ株や単元未満株。しかし、これらは通常取引と異なる点がいくつかあります。

まず、全ての銘柄でミニ株・単元未満株が購入できるわけではないという点。それぞれの証券会社で、希望する銘柄のミニ株や単元未満株が購入可能かどうか、確認することが必要です。また、売買するタイミングにも制限が設けられています。ミニ株は、売買の申し込みをした日の後場の始値や翌営業日の始値などで約定(売買)となります。つまり、通常取引のように希望する価格で売買する「指値」を選ぶことができませんので、気をつけましょう。

さて、株式取引というと、株主優待を目当てに株式を購入する人も多いでしょう。ミニ株の場合、優待は受けられるのでしょうか。残念ながら、基本的にはミニ株では株主優待をもらうことはできません。ただし、一部の銘柄では「端株優待」という優待を発行したり、優待物を換金して分配したりすることもあります。一方で、ミニ株や単元未満株であっても、単元株と同じように配当金は受け取ることができます。

ミニ株や単元未満株のメリットとデメリット

ミニ株や単元未満株のメリットは、単元株では購入することが難しい銘柄の株式を少ない資金で持てる点でしょう。また、複数の銘柄に資金を分散して投資することで、株価の変動によるリスクを抑えることができます。さらに、NISA(少額投資非課税制度)口座で非課税枠を利用すれば、お得に取引が行えます。

一方、デメリットは、リアルタイムでの売買ができないため、最適なタイミングで売買できない、値動きの激しい銘柄には注意が必要という点が挙げられます。また、手数料が割高になるという懸念も。ただし、手数料は証券会社ごとに異なりますので、ミニ株や単元未満株の取引をする前にチェックしておきましょう。

「資金が貯まるまでは投資はできない」と考えていていた人も、ミニ株や単元未満株を利用すれば、意外と早く投資にチャレンジすることができるのではないでしょうか。通常の取引と比べると制限も多いですが、まずは株取引を実際に経験してみることで、将来、本格的に投資をする機会に必ず役立つはずです。夏のボーナスの一部を充てるなど、余裕資金でミニ株・単元未満株を始めてみましょう。

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筆者プロフィール:武藤貴子
ファイナンシャル・プランナー(AFP)、ネット起業コンサルタント
会社員時代、お金の知識の必要性を感じ、AFP(日本FP協会認定)資格を取得。二足のわらじでファイナンシャル・プランナーとしてセミナーやマネーコラムの執筆を展開。独立後はネット起業のコンサルティングを行うとともに、執筆や個人マネー相談を中心に活動中。FP Cafe登録FP。