半年に一度公表されている、「プロ100人が選ぶ保険ランキング」が6月22日発表され、6月27日には都内で表彰式が催されました。保険ランキングのカテゴリは医療保険、がん保険、終身保険、定期保険、収入保障保険、個人年金、学資保険、引受基準緩和型医療保険、介護保険、女性向け医療保険、外貨建て保険、就業不能保険の全部で12分野があり、そのうち半数の6分野をオリックス生命が占める結果となりました。
12分野のうち6分野で1位を獲得したオリックス生命 |
低金利の影響を受けて予定利率を一斉引き下げ
昨年の金利導入による低金利状態のもと金融庁が2017年4月に標準利率を1%から0.25%に引き下げたことにより、各生命保険会社が予定利率を引き下げました。それに伴い、貯蓄性が高い保険の保険料の値上げが相次ぎました。
今回は、保険料算出の基になる予定利率に影響を与える標準利率が1%から0.25%に引き下げられるという大きなニュースがあり、各社とも商品の統廃合やリニューアルをしたタイミングでした。そのため、今回のランキングは、貯蓄性保険分野を中心にランキングに大きな変動が目立ちました。
予定利率引き下げの影響を大きく受け、ランキングにも変動があったものが終身保険。各社軒並み保険料がアップし、中には売り止めになった商品もあります。
12分野のランキングはどう変わった?
保険料アップ後も返戻率が高水準であるオリックス生命「終身保険ライズ」が前回同様1位をキープし、三大疾病で払込免除になると解約返戻金が有利になるマニュライフ生命の「こだわり終身V2」は5位から2位に浮上。前回4位のAIG富士生命の「E-終身」は取り扱い停止となり、新たに積立利率変動型でインフレにも備えられるメットライフ生命「つづけトク終身」が5位にランクインしました。
終身保険と同じく貯蓄性のある個人年金保険も同様に、4月に保険料が上がった商品が多く、返戻率が低下しました。しかし、魅力はやや薄れたものの、老後の資金準備の大きな柱であることには変わりなく、納得できる返戻率かどうかが最大のポイントとなりました。
結果前回1位であったアフラック「アフラックの個人年金」が取り扱い停止になってしまったのでランキングからは消えてしまいましたが、保険料は上がったものの比較的返戻率のよさをキープしている明治安田生命の「年金かけはし」が、前回5位から1位に躍進。また、払い込み満了後から据置期間を設けることで年金額がアップし、返戻率が高くなることが特徴の住友生命「たのしみワンダフル」が今回初めて4位にランクインしました。
学資保険も予定利率の引き下げの影響を受け、保険料の値上げや、販売停止が相次ぎました。
前回1位であったAIG富士生命「E-終身」は取り扱い停止になり、販売が継続されている商品も、10年、15年などの短期払いが中心になりました。ランキングには、学資保険だけに限らず、低解約返戻金型終身なども教育資金準備の選択肢としてランクインしており、親の死亡保障を確保しつつ、教育資金も準備できるオリックス生命「終身保険ライズ」が1位となり、学資保険の中で最も返戻率の高い、ソニー生命「学資保険(無配当)」は、前回3位から2位にランクアップしました。
その他にも、がん保険では、AIG富士生命の「がんベスト・ゴールドα」が、「新がんベスト・ゴールドα」に変更して新たな商品として登場。
収入保障保険では、三井住友海上あいおい生命の「&LIFE 総合収入保障保険」が、「&LIFE 新総合収入保障保険」に商品改訂。東京海上日動あんしん生命の「家計保障定期保険」は、「家計保障定期保険NEO」に商品改訂をするなど、各分野でも保険商品に大きな変動がありました。
予定利率の変更後初めてのランキング発表で注目を集めていましたが、ランキングの総括コメントをしているファイナンシャル・プランナーの小川千尋さんは「予定利率の改訂で、円建ての貯蓄性保険は魅力の低いものになりました。それに代わる商品として外貨建て保険の新商品が目立っています。また、死亡した時に備える保険から生きる際のリスクに備える保険、例えば、就業不能保険や介護や認知症に備える保険の開発も盛んです。利用者はどれが自分にとって本当に必要な保険なのか、より慎重に見極める目が必要です」と分析しています。
株式会社回遊舎
"金融"を専門とする編集・制作プロダクション。お金に関する記事を企画・取材から執筆、制作まで一手に引き受ける。マネー誌以外にも、育児雑誌や女性誌健康関連記事などのライフスタイル分野も幅広く手掛ける。近著に「貯められない人のための手取り『10分の1』貯金術」「J-REIT金メダル投資術」(株式会社秀和システム 著者酒井富士子)、「NISA120%活用術」(日本経済出版社)、「めちゃくちゃ売れてるマネー誌ZAiが作った世界で一番わかりやすいニッポンの論点10」(株式会社ダイヤモンド社)、「子育てで破産しないためのお金の本」(株式会社廣済堂出版)など。