旗艦店がショーケースに

今回のプレス発表会では、新しいグランドメニューよりも、旗艦店の在り方からより大きなインパクトを受けた。大戸屋は、同社が考える未来に向けた企業戦略を、旗艦店というショーケースに込めているような感じがしたからだ。

オープンキッチンを通じた、顧客に対しての「見せる化」。そして、スタッフの負担軽減につながる店舗のデジタル化を通じた、社内に対しての「見せる化」。さらに、投資家を含む社会に対しての「見せる化」。それら全てのメッセージを込めたのが、丸の内に開いた「旗艦店」なのではないだろうか。

セルフレジでの支払いが根付けば、スタッフの労力は減らせる

大戸屋「継承期」における戦い

大戸屋は中期経営計画に記載している通り、次なる改革期、飛躍期に向けた地ならしを着実に実施しているような感じを受ける。そんな中で取りざたされた、創業家との確執については先頃、前会長に対する功労金の支払いという形での対応を決めたという。

大戸屋は昨年、創業家との問題について全社員350人強にアンケートを実施。「何らかの形で(前会長の功績に対して)答えるべき」との声は96%に上ったという。功労金の支払いには、社内の声に経営陣が応えたという側面もあるようだ。創業家への功労金提案に対して、双方の代理人から特段のコメントは発せられていないという。

いずれにせよ、過去の問題にけじめをつけて、これからの未来を自分たちの手で作り出そうとしている大戸屋。そのメッセージが詰まった丸の内旗艦店が顧客の気に入れば、同社の新たな船出もまずは成功といえるだろう。