俳優の綾野剛が主演する日本テレビ系ドラマ『フランケンシュタインの恋』(23日スタート、毎週日曜22:30~23:25 ※初回は22:00~)。綾野は今作で、120年前に生み出された"怪物"役に挑むが、このキャラクター・衣装デザインを担当するのが、ドラマ『勇者ヨシヒコ』や、auのCM『三太郎』シリーズなど手がけてきた澤田石和寛氏だ。
これまで、世界中でさまざまな「フランケンシュタインの怪物」が作られてきたが、現代のヒロインに恋する怪物という前代未聞の設定を受け、どのような発想でデザインしたのか。澤田石氏に話を聞いた――。
今回の"怪物ビジュアル"は、顔に「フランケンシュタインの怪物」を思わせる傷が入り、ボルトが刺さっていると思われる首。そして、布をつなぎ合わせた特徴的な衣装で構成されている。
まず、「フランケンシュタインの怪物」というキーワードから、1931年に公開された映画『フランケンシュタイン』が頭に思い浮かんだという澤田石氏。そこから、顔の傷、首のボルトといった怪物の「記号」になる部分を、頭のなかで熟成させ、実物に落とし込んでいく作業を行っていったという。
澤田石氏は「シナリオに描かれた怪物は、繊細な心を持ち、誠実で優しく、愛らしい性格でした。怪物は愛情を持っていたんですね。今作の怪物は"愛情を持った怪物"です。ビジュアルの考え方は、原作にあたる映画『フランケンシュタイン』の怪物を『2010年代からの視点』に置き換えて考えることです。フランケンシュタインの記号といえる首のボルトは『皮膚の傷跡が硬化したもの』に、継ぎ接ぎの肉体は『顔の傷』と『衣服のパッチワーク』に置き換えています」と語る。
さらに、120年間、1人で山の中に生き続けてきたという設定から、「その間にどのようなことが起きたのか。愛情を持った怪物は、その衣服を手作業で直したり補強したり、森の中にあるものでどうにか工夫して、衣服の原型をつなぎとめているのではないか、と考えたんです」と説明。
色は森のグリーンと土のブラウンをベースに、それだけの時間がたてば、服に穴も開いてツギハギだらけ。ジャケットのボタンが取れても、森の中に落ちているであろう金属で付け替えている。首がかゆいだろうから、シャツのえりは高いんじゃないか――このように、設定を出発点に皆が想像できることを、具現化していったのだという。