ラブコメ鉄板・金子茂樹脚本の『ボク、運命の人です。』

『ボク、運命の人です。』木村文乃

昨年の『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)や、先の『人は見た目が100パーセント』など、最近流行中のラブコメジャンルで最も注目したい脚本家が、亀梨和也主演の日本テレビ系『ボク、運命の人です。』(15日スタート、毎週土曜22:00~)の金子茂樹氏。14年の満足度ナンバー1作品『きょうは会社休みます。』(日テレ系、満足度4.07)のほか、昨年は『世界一難しい恋』(同局系)を手がけ、こちらも満足度3.94と高数値を記録した。金子脚本でラブコメは鉄板だ。

また、亀梨和也×山下智久というコンビから『野ブタ。をプロデュース』(05年)を連想させるが、恋愛運のない主人公に、神様が助け舟を出すというファンタジックなあらすじは、山下主演で金子脚本の月9『プロポーズ大作戦』(07年、フジ系)を彷彿(ほうふつ)とさせる。『プロポーズ大作戦』も、妖精が主人公をタイムスリップさせるという突飛な設定だったが、ドラマチックな感動作に仕上げていた。今作も突飛な設定をうまく生かした得意のラブコメを楽しませてくれそうだ。

『貴族探偵』は新しい月9の扉を開くか

最後に取り上げるのは、"豪華キャスト"、"月9ドラマ30周年記念作"、"月9起死回生なるか"と、うたい文句ばかりが目立つ嵐・相葉雅紀主演のフジ系『貴族探偵』(17日スタート、毎週月曜21:00~)だが、肝心の中身を担う脚本・監督も共に期待できる布陣となっている。

脚本の黒岩勉氏は、15年に同じチームで制作され、満足度3.88という高数値を記録した『ようこそ、わが家へ』や、昨年の年間ドラマ満足度が『逃げ恥』に次ぐ高数値だった『僕のヤバイ妻』(満足度4.04)などのミステリー作品で、高満足度作品を多く手掛ける注目の脚本家。

また、監督の中江功氏は先の『ようこそ、わが家へ』のほかにも、ミステリードラマの名作『眠れる森』(98年)や、大ヒットシリーズ『Dr.コトー診療所』(03年、06年)も手掛けた、丁寧な人間ドラマと映像美が特徴のヒットメーカーだ。今作は、中江監督の中では珍しい、人間ドラマ寄りではなく、濃い目のキャラが多く登場するキャラクタードラマに挑戦することになる。

恋愛ドラマの代名詞的な月9だが、テレビウォッチャーのデータが残る12年以降の同枠満足度トップ3は『信長協奏曲』(3.89)、『HERO(第2期)』(14年、3.89)、『ようこそ、わが家へ』(3.88)と、満足度が高いのは、実は恋愛モノではなかったのだ。実績のある制作陣と、相性のいい"非恋愛モノ"で、新しい月9の扉が開くことに期待したい。

『貴族探偵』(左から)井川遥、生瀬勝久、武井咲、松重豊、中山美穂、滝藤賢一