おいしいものが満載の関西。このほど、兵庫県の加古川市に牛肉を使ったご当地グルメ「加古川ギュッとめし」が新登場した。なにが"ギュッと"めしなのか、その真相を味わいに、早速、加古川に行ってみた。
駅舎から加古川を感じられる「棋士のまち」
加古川市は、兵庫県南西部に位置する街。JRの新快速が加古川駅に停車するため、大阪、神戸からのアクセスもいい。大阪駅から1時間弱、神戸駅からは約30分で加古川駅に着いた。加古川駅の駅舎は、一級河川である加古川をイメージしたとか。「だから水色なのか」と納得。加古川は、自然豊かな播磨(はりま)平野を流れ、瀬戸内海に注ぐ、兵庫県を代表する川だ。
駅に降り立つと、「棋士のまち」というバナーが目に留まった。日本将棋連盟所属のプロ棋士が数名在住しているということで、それにちなんで、「棋士のまち」を掲げているとか。加古川水域という自然だけではなく、文化も豊かな街なのだ。
牛肉必須! +αな楽しみ方も
さて、加古川の味と言えば、お皿に平らに盛ったご飯の上に、ビーフカツやゆでた千切りキャベツをのせ、デミグラスソース系のタレをかけた「かつめし」が知られている。これに続けとばかり、「加古川ギュッとメシ」は、2017年2月9日の肉の日にお披露目された。
そう、"ギュッと"は牛肉にちなんだネーミングなのだ。兵庫県は但馬牛、神戸牛などのブランド牛がよく知られるが、加古川は牛肉が流通する拠点になっているそうだ。
加古川駅内にある加古川観光案内所で、パンフレットをもらった。それによると、ギュッとめしは、味噌ベースのタレに漬けた牛肉を使用することが条件。そして、プラスαの楽しみ方ができることも必要だとか。あらかじめ肉を漬けるため、予約制や数量限定で提供しているとのこと。漬け肉を使い、ステーキ重、ローストビーフ丼、巻き寿司、丼、クリームリゾット、釜飯など、さまざまなバリエーションを展開している。
牛肉をタレとダシとともに味わう
実際に提供店を訪れてみよう。まずは、前日に予約していた「創作酒房 駄駄」へ。駄駄へは加古川駅から徒歩15分程度となる。
カウンターとテーブル席の落ち着いた雰囲気の店内で、加古川漬け肉のステーキ重(税込1,500円/小鉢2品付き)をいただく。地元加古川産の高松味噌に漬けこんだ牛肉を焼き、ご飯の上に。白味噌のまろやかさが肉のうまみを引き立ててくれる。
そう言えば、「プラスαの楽しみ方が……」と思っていると、「ダシをかけて、どうぞ」の言葉とともに、急須が登場。お重から、茶碗にご飯と肉を移し、ダシをかけて味わう。タレをまとったご飯と味噌の風味を感じる牛肉が、かつおだしのおかげで深い味わいを醸し出している。
こちらは前日までに要予約、かつ、限定8食となっている。「絶対食べたい! 」という人は、早めの予約をオススメしたい。
●information
創作酒房 駄駄
住所: 兵庫県加古川市北在家2723 センタービル1階
営業時間: 11:30~13:30、17:30~23:00
定休日: 土・日曜日、祝日の昼、火曜日の夜
採算度外視でギュッと詰まったパン
和食のギュッとめしを堪能したところで、次はパンバージョンを紹介しよう。地元の農産物を使ったパン、お総菜を製造・販売しているお店「フレッシュ ピックル」で販売している「牛(ぎゅ)・ギュッとパン」。こちらも前日までに予約が必要で、電話すると「時間に合わせて、揚げたてをお作りします」とのこと。「揚げたてとは? 」と、疑問を抱きつつも期待が高まる。
フレッシュ ピックルへは、JR日岡駅から徒歩20分。2003年より、地場の野菜を漬け物に加工することからスタートしたこちらのお店は、地元の女性を中心に活動中。手作りのパンやいなり寿司、加古川産米を使った和菓子やシフォンケーキを手がけている。今回は、兵庫大学の学生とコラボレーションし、ギュッとめしの開発に行った。
「牛・ギュッとパン」(1個税込180円)は、一見、ピロシキかカレーパンのような形。北海道産の小麦粉「春よ恋」を使った生地の中には、牛肉のバラ肉を白味噌、赤味噌のそれぞれで漬け込み、加工した具が入っている。1度で2つの味が楽しめるのだ。食べ応えのある質感と味わい、これで1個180円とのお値打ち。
「採算は度外視して、いいお肉を使っています。地元の新しい名物にしたいですね」とお店のスタッフの方。地元を盛り上げる心意気が伝わってくる。
●information
フレッシュ ピックル
住所: 兵庫県加古川市神野町西之山102-2
営業時間: 9:00~16:00
定休日: 水・木曜日
お店ごとの持ち味を存分に生かした「加古川ギュッとめし」。市内には、聖徳太子ゆかりの鶴林寺など、見どころも点在。ぜひ加古川に足を運んで、味わってほしい。