育休を終え、4月から職場復帰という人も多いのではないだろうか。そこで心配になるのが、家事・育児分担。休業中は、女性が一手に担っていた家庭も多いかもしれないが、生活をスムーズに回していくためにも、夫婦の協力は不可欠となってくる。

どうしたら、家事・育児分担をうまく進めることができるのか。3月18日に行われた「復職前の両親学級! 『脱・ワンオペ育児』をするための夫婦の『働き方改革』イベント」(クラウドワークス、CaSy、キッズライン主催)に参加した、共働き子育て夫婦4組の声を聞いてきた。

共働き子育て夫婦4組の家事・育児分担について聞いてきた

イベントの登壇者

佐倉怜七(30)・亮(35)夫妻
4歳と1歳の子どもを育てる共働き夫婦。妻の怜七さんは、人材紹介会社の法人営業として働き、月150時間勤務制度を利用している。夫の亮さんは、キャリアアドバイザーマネージャーとしてフルタイム勤務をしていて、帰宅時間は、早い時で20時、平均的には21~22時。
水谷裕圭里さん(37)
夫婦共に大手コンサルティング会社で働き、2歳の子どもは2016年4月から保育園に通わせている。夫の帰宅時間は早くても21時で、24時前後になることもある。裕圭里さんは17時までの時短勤務だが、19~20時まで働くこともある。
新田嘉子(39)・龍(40)夫妻
9歳と1歳の子どもを育てる共働き夫婦。夫は子どもができたことをきっかけに独立し、現在は会社経営者として活躍。妻は情報・通信企業のWeb戦略課課長として時短勤務をしている(もうすぐフルタイム勤務に戻る予定)。夫の帰宅時間は18時半~19時。
橋本紗織さん(30)
3歳と0歳の子を育てながら、フリーランス(Web制作・企画)として活躍。2016年4月から保育園に通わせている。製薬会社の人事として働く夫は、19時半頃に帰宅する日も週に1~2度あるが、そのほかは23時頃。出張や休日出勤もある。

家事については「死ななければいい」がモットー

司会者: 今日はイベントのために、みなさんに夫婦の家事・育児分担表を作ってきてもらいました。表を作ってみて感じたこと、大変だなと思う家事・育児はありますか?

佐倉怜七さん: 子どもが別々の保育園に通っているので、朝の保育園への送りが大変です。その部分を夫が100%やってくれているので、助かっていますね。平日の家事は私が中心ですが、土日は夫が料理を作っているのもポイントです。それから、わが家では家事については「死ななければいい」というのをモットーにしているので、テーブル拭きや窓拭きなど、平日は見て見ぬふりをする家事もあります。


佐倉亮さん: やらないといけないことを減らすというのが、夫婦で仲良くいるためには、わりと大事なことなのかなと思いました。


司会者: このような分担はどのように出来上がっていったのですか?

佐倉怜七さん: 私の要望を夫に伝えて、夫ができる範囲で受け入れてくれたという感じです。子どもがうまれて、日々会話する中で、夫にもやってもらう範囲を広げていきました。それから、ベビーシッターも利用しています。夫は利用に抵抗があったようですが、私が押し切ってしまうタイプなので(笑)、まずは使ってみることに。その結果、とても良いサービスだということが分かり、夫の価値観も変わりました。

もともと私たち夫婦は、いろんな人の手を借りて、子どもを育てようというのを大事にしてきたので、子どもたちも、シッターさんにはすんなりなつきましたね。


司会者: 水谷さんは、どのような感想を持たれましたか?

水谷裕圭里さん: うちの場合は子どもが「お世話は母親でないと嫌!」となっているので、子どものことは私、子どもに関係ないところは夫という分担になっています。ただ、他にもやってほしいと思うことは山ほどありますね。例えば、家電の修理とか粗大ゴミのゴミ出しとか……。子どものお世話についても、夫と子どもが触れ合う機会を増やすことで、少しずつ夫にシフトしつつあります。夫にお願いできることは積極的にお願いして、自分の時間を作ることを心がけています。


家事・育児分担表をもとに登壇者が現状を説明

司会者: 家事代行も利用しているんですよね。

水谷裕圭里さん: 職場復帰をした当初、私の家事・育児負担が重過ぎて不機嫌になっていた時期があり、その時に夫が利用を提案してくれました。月に2~3回利用していて、主に料理をお願いしています。子どもが手づかみしやすい、保存できる物を中心に作ってもらっていて、1回来てもらうと3~4日は持つので助かっています。

料理や掃除は家事代行にお願いすればなんとかなるのですが、突発的に子どもが病気になったり、急なミーティングが入ったりした時は、区のサービスを利用するなど工夫しています。


夫も会社も、要望は伝えないと分かってもらえない

司会者: 新田さんのご家庭では、分担はスムーズでしたか?

新田嘉子さん: 子どもがうまれたばかりの頃は、自分ががんばりすぎてしまって、ストレスがたまり、感情が不安定になって泣いてしまうこともありました。でもそんな時に夫が「何に困っているか具体的に話してもらえば、助ける手段が分かる」と提案してくれて、着地点を見つけたという感じです。


新田龍さん: とはいえ、分担表を見てみると、思ったより私の分担が少ないなと……。男性のみなさん、「自分はやっている」と思ってもこんなもんですから、よほどがんばらないと妻の満足度は上がりませんよ!


分担表の感想を述べる新田龍さん

司会者: 龍さんは、子どもができたことをきっかけに独立されたそうですね。

新田龍さん: 6年半、サラリーマン生活を送っていたのですが、いわゆる"ブラック企業"に勤めていたので、このままでは育児ができないと思い、独立しました。


司会者: 嘉子さんもご自身が働きやすくなるよう、会社に働きかけたとか。

新田嘉子さん: 2人目の妊娠中に、会社で提案した事業制度が採用されたのですが、再来月に出産予定日が迫っていたので、在宅勤務を申し出ました。当時、在宅勤務をしている人はほとんどいなかったのですが、人事の役員に提案し、トライアルとして1カ月半、自宅で仕事をさせてもらいました。この4月からは、全社的に在宅勤務が導入されることになっています。

夫に対しても会社に対しても、要望は伝えないと分かってもらえません。言ってみて、やってみて、成功事例を作って、それを今後に生かすことができれば、みんなハッピーです。


司会者: 橋本さんは、妻:夫の分担割合が8:2という結果でした。

橋本紗織さん: 改めてみると、多いですね。この表を見せたとき、夫は「ノーコメント」という感じでした……。ただ、上の子どもがうまれ、私が専業主婦だった時は、家事・育児を全て行っていたことを考えると、フリーランスとして仕事をし始めてからは、徐々に夫の分担も増えています。


専業主婦時代から、徐々に夫の分担を増やしていったという橋本さん

爆発で見えてくることもある

会場から: 職場復帰後、夫婦間に訪れた最大の危機は何ですか? また、それをどのように乗り越えられましたか?

佐倉怜七さん: 上の子が1歳半くらいのときに、「もっと家事・育児やれるじゃん!」と夫に対して爆発したことがあります。毎晩私が怒っているという状況が続きました。私は26歳で子どもをうんだので、「もっと働きたい」というモヤモヤを抱えていた一方、夫は子どもができても、生活が変わったようには見えなくて……。

でも、そういう私を見て、夫は早く帰れるように努力してくれたり、朝の保育園の送りを担ってくれたり、土日に料理をしてくれたりと、できることからやってくれるようになりました。私の不満を、夫が受け入れてくれた感じですね。


爆発が家事・育児分担のきっかけになったと語る佐倉怜七さん

水谷裕圭里さん: 修羅場を迎えたのは、育休明けすぐの7~8月です。私の場合は、家事・育児負担の重さに怒って、夫を無視するということが続きました。夫が反省して「何かやろうか?」と言ってきても、無視してしまって……。

ただ、友達と話していて「それではいけない」と思う瞬間があり、料理レシピのウェブサイトのリンクをメールに貼り付けて、「これを作って」と一言だけ送ったんです。そうしたら、夫は素直に夕飯を作ってくれて……「やり直せるかもしれない」と思いました。

それから少しずつお願いすることを増やしていき、今は朝食の準備くらいはやってくれるようになったので、「自分も譲る」というのは、大事だなと思います。


新田龍さん: 男は察するのが下手なのかもしれません。その一方で、怒られるとイライラしてしまって……。「何で●●をやってくれないのか」ではなく、「●●をやってくれると助かる」「あなたなら、●●に向いていると思う」などと依頼すると効果があるような気がします。

それから、言葉足らずということもよくあります。例えば、「洗濯物をしまっておいて」ではなく「洗濯物を乾燥機から取ってきてたたんでしまっておいて」と具体的に指示をしてもらえると、理解できると思います。


橋本紗織さん: 私は1人目の産後から、月に1回くらい大爆発を重ねてきていて、未だに爆発はしています。でもそうすると、自分でもどのような時にイライラしてしまうのかが分かってきます。

例えば、家事・育児をすごく手伝ってくれる夫を持つ友人の話を聞いた後に、夫に家事をお願いしてやってもらえなかった場合、私はキレやすいです。ですので、今はフラットに相手を見て、相手にはこの家事・育児をする余裕があるのかないのかを見極め、不可能であれば外注するしかない、と冷静に捉えるようにしています。

そういう風に、冷静に見られない時は、爆発させてもらってガス抜きをしています。深刻な事態にならない限りは、そういった爆発を重ねていくことで、見えてくることもあるのではないでしょうか。



家事・育児分担において大切なのは、お互いの要望をきちんと伝え、お互いが譲り合うというシンプルなこと。そして、夫婦で乗り切ることが難しければ、他人に頼るということなのかもしれない。時に冷静に、時に感情的に、パートナーのことを諦めず、向き合ってみてはいかがだろうか。