訪問看護で医療保険と介護保険のどちらを使うかは年齢も関係

訪問看護利用の際には、医師からの「病気や障害で自宅療養が必要」という訪問看護指示書の交付が必要

年齢が40歳未満なら、そもそも公的介護保険には加入していないため、公的医療保険の対象です。一方、40歳以上の人は介護保険に加入してはいますが、要介護・要支援の認定を受けているかどうかが、保険対象になるポイント。認定を受けていない人は公的医療保険を利用することになります。

40歳以上65歳未満の人が要介護・要支援の認定を受けるためには、16特定疾患と呼ばれる「心身の病的加齢現象との医学的関係があると考えられる疾病」として厚生労働省の認定を受ける必要があります。なお、訪問看護を利用するには「病気や障害で自宅療養が必要である」とする訪問看護指示書の交付が医師からされていることが前提です。

40歳以上で要介護・要支援の認定を受けている……公的介護保険の対象

40歳未満および40歳以上でも要介護・要支援認定を受けていない……公的医療保険の対象

医療保険の方が負担額が高くなる見込み

気になる自己負担額ですが、公的介護保険では原則として利用額の1割。一方の公的医療保険では年齢および所得により1~3割のため、介護保険を利用するよりも高くなる場合があるのです。さらに知っておきたいのが、それぞれの利用限度。公的介護保険には、要介護のレベルごとに1カ月に利用できるサービスの利用限度額が決められています。

例えば、最も要介護度が軽い「要支援1」の場合は支給限度額が5万30円、同じように最も重い「要介護5」では36万650円(2017年2月時点の標準地域のケースで、介護報酬の1単位を10円とした場合の計算)となります。この金額を超えて利用した分は全額自己負担です。一方の公的医療保険は、毎月の利用金額に限度はないものの、サービスの利用は週3回までという制限があります。

公的医療保険と公的介護保険の違いがお分かりいただけたでしょうか。どちらを利用するかは訪問看護を必要とする状況によって決まるため、自分で選択できるものではありません。でも、それぞれに自己負担リスクがあることを考えると、自分自身で民間保険や貯金での備えもしておきたいですね。

※写真と本文は関係ありません

筆者プロフィール: 武田明日香(たけだ あすか)

エフピーウーマン所属、ファイナンシャルプランナー。日本テレビ「ZIP!」やTBSテレビ「あなたの損を取り戻せ 差がつく! トラベル! 」、「Saita」「andGIRL」等の雑誌、「web R25」「わたしのマネー術」等のウェブサイトなど幅広いメディアを通じ、お金とキャリアの両面から女性が豊かな人生を送るための知識を伝えている。お金の知識が身につく初心者向けマネーセミナー受付中(受講料無料)。