キラーチューンが期待させる、Pyxisの“これから"

曲明け、「みー、怒んないから出ておいで!」と伊藤をステージに呼ぶ豊田。「ありがとうー!」と満面の笑みで登場する伊藤。互いのソロ曲の“乱入"について、実は「お互いずっと見てきて、ずっと『いいなぁ』って言い合ってて(豊田)」「そう、どっかで出たいなぁって(笑)(伊藤)」と、元々互いに好きなパートだったことを明かす。ただ同時に打ち合わせなしであったことも伊藤から明かされ、最終的にはふたり一緒にアドリブ力の高い照明さんを讃えていた。

さて、VTR中に着替えた衣装のコンセプトは、「Pyxisパジャマ女子会」。となれば続く曲は、「Welcome! My best friend」しかない。最初はそれぞれが自らの色のステージ台に腰掛けて歌い、豊田はクッションをもふもふ抱えながら愛らしく歌う。2コーラス目では伊藤の側にふたり並んで座ってじゃれ合い、歌声・動きで掛け合いながら歌えば、間奏では立ち上がっての軽快なダンスを披露。最後にはふたりにスポットライトがあたり、「おやすみなさい」を言うかのようにパジャマパーティーは終了した。

ここで、再びVTRコーナーがスタート。今度はPyxis恒例の対決コーナーを、“スカッとする"場所・バッティングセンターでのバッティング(※前に飛ばした球数)勝負。先攻・伊藤は序盤調子よく、ネット裏で見守る豊田も「なんか男前!」と絶賛したものの、中盤以降伸び悩んで結果は20球中7球。対照的に「ムリムリムリムリ!」とスタート前からへっぴり腰だった豊田は、中盤からは慣れてきたのかバットがボールに当たり始める。「もえさんは、最初『ダメー!』って言ってても、才能があるからなんでもうまくこなしちゃう」との伊藤の解説通り、結果8球成功させた豊田の勝利! ふたりともスカッとしたところで、ライブ自体も終盤戦へと突入する。

VTR明け、凛とした表情でステージに上がったふたりは、新曲「FLAWLESS」を歌唱。フルバージョンは初披露にして初公開となったこの曲は、これまででもっとも対称感へのこだわりが貫かれた曲。ハンドマイクの持ち手を含めて、その振付でカードの裏表感を表現している。身体を接近させての、イントロや間奏等でのコンビネーションも隙なく決まり、初披露でファンを驚かすには十分すぎる仕上がりだった。また、サウンドがほぼサイレントになるうえに、音域に幅のある頭サビや落ちサビのソロを声を立たせて歌いきる姿に、ふたりの持つハートの強さを感じられた。

曲明けには「FLAWLESS」にまつわるトークを展開。まとう衣装にも、髪飾りに歌詞にちなんだハート型のダイヤが用いられていたり、スカートのひらひらもダイヤ型にカットされていたり……といったこだわりも明かされた。

そしてここからラストスパートとして、Pyxisにとって大事な曲が立て続けに歌われていく。まずアルバムリード曲「初恋の棘」では、小指をフリのポイントとしてフィーチャーしつつ、サビはじめのコンビネーションが絶妙。切なげな楽曲ではありながら、その歌い・踊り込みぶりがビンビン伝わるすごみさえ感じられた。

続いてはタオル曲「トキメキセンセーション!」。昨年の1stライブで披露したこの曲、頭サビから客席ではタオルが回りまくり、その光景をステージ上のふたりはキラキラの笑顔で受け止めつつ、さらに煽り続けていた。そしてもう1曲昨年の1stライブで誕生した「Jewel」を、続けて披露。アルバム未収録のこの曲は双子感の強い振付をベースに、キュートかつ楽しげに届けていく。この3曲、元から高かった豊田のジャンプの到達点がどんどん高くなっていったところに、彼女の気持ちの入りようを感じられるポイントだった。

大事な曲を届けたところで、ラストナンバーを前にこの日の感想を述べるふたり。「一昨年5月に結成を発表したステージは、この会場の4分の1ぐらいの規模だったんですけど、今日こんなにたくさんの人たちが私たちを見に来てくれて、歌を聴きに来てくれて、感動しました!」とここでもうれしさを表す伊藤。「『早くみんなの前で歌いたい』って今日を楽しみにしてました。私たちの精一杯の歌、届きましたか?」との問いかけには、もちろん大歓声が返ってくる。

続けて豊田が、「ここ半年で、すごく美来との距離が縮まったと思います。元々0cmだった距離が、-5cmみたいな。一心同体というか運命共同体みたいで、それぐらいふたりで過ごす時間の密度が濃くて」と、その充実ぶりを語る。そしてこれからについても「これからもみなさんとたくさんお会いできる機会を作りたいですし、もっともっと実力をつけて、アニメでたくさん声を聴かせられるように頑張っていきます!」と声優としての活動も含め、意欲を語ってくれた。

そして「最後はみんなで一緒にお手振りを」とのお願いから、ラストナンバー「Shiny day」へ。曲前の簡単な振付講座の効果もあってから、ステージ上のふたりの腕とともに客席のピンクとブルーの光は、美しく揺れる。ふたりのパフォーマンス自体に目を移すと、ミドルテンポのデジタルポップながらも、間奏のダンスタイムではカクつかずに実にしなやかなダンスを披露。一緒に楽しみながらファンを魅了しきってくれた。

最後に「ちゃんと今日が初恋現場になった?」の豊田からの改めての問いかけに、返る大歓声。1月22日が、ファンにとっての初恋記念日となった瞬間だ。その反応を受け取ったふたりは、会場中のファンへ改めて礼を告げ、メジャー・デビュー後初のワンマンを締めくくったのだった。

対称・非対称のメリハリといいコンビネーションといい、とにかくキュートかつ完成されたダンスでの息の合い方が素晴らしかったこの日のライブ。その一方でMCなどに表れるようなゆるっとしたあそびの部分も、パフォーマンスとのギャップで魅力を放っている。しかしこのふたりは、まだメジャーデビューしたて。このキラキラな運命共同体は、どこまでその輝きを増していくのだろう――そんなさらなる成長への期待も高めてくれたのが、この日のライブだった。

「Pyxis Live 2017 "Pyxis Party" ~First Love 注意報!~」セットリスト<1st>

M-01 First Love注意報!
M-02 新しいキミ
M-03 Please!Please!
M-04 ハズム恋リズム
M-05 恋でした
M-06 13番
M-07 ジェリービーンズ・ダイアリー
M-08 Dear Honesty(伊藤美来ソロ)
M-09 カフェモカ・サイド(豊田萌絵ソロ)
M-10 Welcome!My best friend
M-11 FLAWLESS
M-12 初恋の棘
M-13 トキメキセンセーション!
M-14 Jewel
M-15 Shiny day