母国と日本とでしつけに違いを感じますか?

どの程度のしつけがちょうどいいのかは時代や環境にもよるのだろうが、厳しいしつけで育った人は「今の子どもは……」と感じることもあるだろう。それでは、現在の日本のしつけ状況は、海外の人にどう見られているのだろうか。母国との違いを含め、日本在住の外国人20人に聞いてみた。

行き届いていると思う

・「日本の方が、韓国よりも基本的な礼儀(人にしゃべっていいこと、悪いこと、配慮など)はちゃんとできている気がする」(韓国/20代前半/男性)

・「日本の子どもへのしつけは行き届いていると思います。中国は一人っ子政策が原因で、子どもは『小皇帝』と言われる家庭が多いです。両親とも働いているので、おじいさんとおばあさんが預かることが多いです。おじいさんとおばあさんは子どもに甘くしてしまうため、しつけをちゃんとしていない子どもが多いと思います」(中国/30代半ば/男性)

・「我慢できる子の育て方はすごくいいと思います。香港の今の若い親は子どもに何でも好きなことをやらせることが多いので、子どもにあまりよくないと思います」(香港/20代後半/女性)

・「行き届いていると思います」(ベトナム/20代後半/男性)

・「はい、行き届いていると思います。ブラジルでも大体同じです」(ブラジル/20代後半/男性)

・「ちょうどいいと思います。インドは厳しいです」(インド/40代前半/男性)

・「はい、行き届いていると思います。インドネシアではお手伝いさんを雇っている家庭が多いです。子どもの面倒をすべてみてくれるので、子どもはあまり自立していません。小学校に入っても自分でご飯を食べたり、服を着たりしない子どもが多くみられます」(インドネシア/40代前半/女性)

甘いと思う

・「ウクライナに比べれば、日本はしつけが少ない方だと思います」(ウクライナ/30代前半/男性)

・「日本だけの問題ではないですが、子どもに甘い、しつけをしない親が多くなっているように見えます。悪いことをしても注意しないとか。相手に迷惑をかけないのがとても大事な日本でも、そうなってしまっているように思います」(イタリア/30代前半/男性)

・「日本は甘いです。タイはたたくのが当たり前だし、先生がやってもおかしくないし、日本の学校などが甘いと感じました」(タイ/30代前半/男性)

・「今の日本の子どもはしつけがよくないと思います。合気道や他のアクティビティを子どもとやりますが、最近、教育の問題があると思います。フランスも同じ」(フランス/30代前半/男性)

・「日本の子どもの教育に直接に経験がありませんが、見たところ、しつけはあまり行き届いていないと思います。両親が子どもたちにあまりマナーを教えないし、学校でもあまり習っていない気がします。スペインでは、それは両親の役割ですので、子どもの頃からもっと厳しくマナーを習っています」(スペイン/30代前半/女性)

・「日本の方が甘いです。フィリピンでは親に対して丁寧な言葉を使わないとすぐ怒られます。しつけの仕方も厳しいし、スリッパでお尻をたたいたり、手をつねったりなど」(フィリピン/40代前半/女性)

・「日本の子どもの多くは、しつけがされていないと思います。スーパーの中で自宅のように走り回っても親が叱らないし、ずっと叫んでも静かにするように注意されないし、人にぶつかっても『すみません』と言わないし、親や他の大人に対して厚かましい口調で話しかける、という子も見かけます。子どもの保護者だから、社会で生きるためのルールを教えるべきだと思いますが、子どもを甘やかしすぎている人たちが多いです。ルーマニアでは子どもを甘やかす考え方はありません。私も耳にたこができるほど『他人に迷惑をかけるな』と言われながら育ってきました」(ルーマニア/30代前半/女性)

厳しすぎると思う

・「日本人は子どものしつけに対して厳しいすぎると思います。だって子どもでしょう。モンゴルも子どものしつけに厳しいですが、日本より全然軽いです」(モンゴル/30代前半/男性)

家庭によると思う

・「基本的にアメリカとあまり変わらない気がします。緩い人も厳しい人もいます」(アメリカ/30代前半/女性)

・「これも家族や地域によって変わってくるから、何とも言えないと思う。でも体罰をしないようにという点は主流であり、それは日本も台湾も同じだと思う」(台湾/20代後半/女性)

・「微妙ですね。親にもよりますね。全体的な印象ですが、ハンガリーの方がしっかりしているイメージですね。日本では子どもが学生になる前には甘すぎて、学生になってからは厳しすぎるイメージです」(ハンガリー/30代前半/女性)

子どもに向き合っていないイメージ・自由にさせていると思う

・「一概には言えないが、親がスマホや電話に夢中になり、子どもに向き合っていないイメージ。パラグアイの親は、甘やかしすぎ、過保護が多い」(パラグアイ/30代前半/女性)

・「日本人の子どもはとても自由だと感じている。ロシアの両親は子どもの育て方がもっと厳しい」(ロシア/20代半ば/女性)

総評

今回のアンケートでは、20人中、「行き届いている」が7人、「甘い」が7人と、同数だった。自国と比較しての回答もあるのだろうが、日本で生活する内に、しつけのいい子ども(もしくは悪い子ども)に出くわしたことが何度かあったりして、それなりの印象が定着してしまっているというのもあるかもしれない。

また、台湾の方の回答のように「体罰をしないようにという点では日本も台湾も同じ」という場合もあれば、タイやフィリピンの方のように「たたくのが当たり前」ということもある。これらの回答がその国のしつけ全てを表しているのではないにしても、しつけの境目で揺れている親はどこの国にもいるのかもしれない。

調査時期: 2016年7月16日~2016年8月15日
調査対象: 日本在住の外国人
調査数: 20人
調査方法: インターネット応募式アンケート

※本文と写真は関係ありません