オウチーノが運営するオウチーノ総研はこのほど、「2016年、人気の高かった市区町村ランキング[新築マンション・新築一戸建て/首都圏編]」を作成・発表した。同ランキングは、住宅不動産サイト「O-uccino」新築サイトのアクセス数をもとにランク付けして集計したもの。調査期間は2016年1月1日~12月31日。
東京都世田谷区が2冠
1位となったのは、新築マンション編・新築一戸建て編ともに「東京都世田谷区」だった。前年の新築マンション編ランキングでは、1位「東京都中央区」、2位「東京都千代田区」、3位「東京都港区」に次ぐ4位という結果だったが、新築マンションの価格高騰を先導してきた都心の3区を抑えてのランクアップとなった。
一方で、新築一戸建て編においては、オウチーノ総研が調査を開始した2013年から4年連続で1位をキープしている。「東京都世田谷区」は成城や自由が丘などの高級住宅地や、下北沢などサブカルチャーの街のほか、高感度なエリアとして再開発が進む二子玉川、一人暮らし世帯も多い三軒茶屋など、エリアによってさまざまな顔を持つのが特徴だ。
オウチーノ総研によると、都心の新築マンションや郊外の駅近・大規模マンションなどの価格が高騰するなか、駅から少し離れた住宅エリアに建設されることの多い「東京都世田谷区」の新築物件は割安感もあり近年見直されているという。また、馬事公苑(こうえん)や世田谷公園などの大きな公園や、目黒川や多摩川といった河川も多く、23区内では練馬区に次いで2番めに高い緑被率を持つなど、自然豊かで子育て環境に恵まれているため、ファミリー層からの人気も高いとのこと。
新築マンション上位は都心エリアに
新築マンション編の2位には「東京都港区」、3位には「東京都中央区」がランクインし、都心の2区が続く結果となった。「東京都港区」は虎ノ門や新橋、芝といったビジネス街のほか、青山や六本木、赤坂などの商業エリアもあり、職住近接を望むビジネスパーソンの需要が高い。また、JR山手線の品川駅~田町駅間にできる新駅など、区内で多くの再開発計画があり、住居の共有も多く予定されているという。
3位の「東京都中央区」では、特に旧日本橋地区と呼ばれる東側のエリアでマンションの供給が盛んに行われている。また、勝どきや築地といった下町エリアや、日本橋や八重洲などの大商業地帯でも大規模な再開発が続いているほか、晴海エリアに新設予定のオリンピック選手村は大会後に一般開放される予定となっている。
ほか、8位「東京都江東区」、9位「東京都台東区」など、イースト・トーキョーと呼ばれ注目されているエリアもランクインした。活発な住宅開発が続き、都心へのアクセスも良好なため割安感があり人気が高まっているという。また、住吉駅に東京メトロ有楽町線が延伸される計画があるなど、交通インフラの整備によって資産性や将来性も高まることが評価されているとのこと。
新築一戸建てはベッドタウンが人気
新築一戸建て編では、2位に「埼玉県さいたま市浦和区」、3位に「千葉県船橋市」、4位に「神奈川県横浜市青葉区」がランクイン。ベッドタウンが上位を占める結果となった。
「埼玉県さいたま市浦和区」は、埼玉県庁やさいたま市役所が置かれる県政の中枢であり、国内屈指の公立進学校と言われる県立浦和高校など、有名校も多く点在する文教都市。公園や自然も多いため、子育てに適した街となっている。
「千葉県船橋市」は、交通の利便性が抜群のエリアだ。船橋駅でJR総武線・東武野田線が使え、隣接している京成船橋駅でも上野と成田空港を結ぶ京成本線が利用可能。さらに、西船橋駅にはJR総武線のほか、埼玉県から神奈川県までをつなぐJR武蔵野線、都心のビジネス街まで1本で通勤できるJR京葉線や東京メトロ東西線、東葉高速線と5路線が乗り入れる。人口も年々増加しており、船橋駅前には大型ショッピングモールやIKEAなど、商業施設のオープンが相次いでいる。
「神奈川県横浜市青葉区」は東京都町田市と隣接する地域であり、都内への通勤・通学者が多い。区内には東急田園都市線、こどもの国線、横浜市営地下鉄ブルーラインが走っており、東京メトロ半蔵門線と乗り入れている東急田園都市線を使えば、渋谷駅や永田町駅、大手町駅など都心へ乗り換えなしでアクセスできる。
これらの結果についてオウチーノ総研は、「都心の地価高騰の影響を受け、アクセスが良く、かつ都心と比べるとリーズナブルな郊外の人気がより高まったと考えられる」と分析している。