俳優・生田斗真主演の映画『彼らが本気で編むときは、』(2月25日公開)が東京・渋谷区とコラボレーションを行うことになり、映画監督の荻上直子が24日、発表会に登場した。

左から長谷部健 渋谷区長、荻上直子監督

同作は『バーバー吉野』『かもめ食堂』『めがね』などの作品を手掛ける荻上が脚本・監督を務めたオリジナル作品。母親に家出されひとりきりになった少女・トモ(柿原りんか)が、叔父であるマキオ(桐谷健太)を頼って家を訪れ、同棲している美しいトランスジェンダーの恋人・リンコ(生田)と出会う。

法律上の婚姻とは異なる、戸籍上の性別が同じ二者間の社会生活を"パートナーシップ"として認める「パートナーシップ証明書」を導入した渋谷区は、LGBT先進自治体として取り組みを行っている。渋谷区、および渋谷区教育委員会が同作を「推奨作品」に認定し、コラボレーションビジュアルの発表を行った。

長谷部健 渋谷区長は「LGBTだけでなくさまざまな現代の社会課題が描かれている」と作品を評価し、「渋谷区職員にもこの作品を観てほしい」と絶賛。「トランスジェンダーの人たちは、子供の頃から成長過程で悩みを持つことがあり、もっと教育の現場での理解を進めていかなくてはならない」と説明し、「頭ではわかっていたけど、実際見えていなかったことをこの映画から感じてほしい」と希望を語った。

アメリカ生活が長かったという荻上監督は「あちらではレストランに行けば、隣にはゲイカップルの人たちに日常的に出会うんです。でも日本に帰ってきてそういったことはほとんどありませんでした」と日本の現状についての印象を語る。しかし「将来、そんな光景を最初に観れるのは渋谷区になると思っております」と渋谷区に期待を寄せた。

イベントに登場したトランスジェンダーの一般女性は、病院と区役所を「変な目で見られたらどうしようとか、結構不安に思いながら行く場所」と表現。「『こんな人間もいるんだ』と動じずに対処いただけたら、嬉しいです」とうったえかけた。荻上監督も「私は『LGBTの人たちを差別してはいけません!』とかそういう映画を作りたかったわけではなくて、『いろんな人がいていいよね』という思いで作りました」と作品への思いを明かした。