かつて家計の中の「通信費」といえば、自宅の固定電話代とNHKの受信料で一般的な家庭で1万円かかるかどうかといった程度でしたが、現在では、家族人数分のスマホ代にインターネットの接続料、有料放送の受信料などなど、この費目だけで以前の数倍の支出額もめずらしくありません。

増え続ける通信費をそのままにしておけば、家計は圧迫されるばかり。サービスの内容と費用がめまぐるしく変化している費目なので、こまめな見直しが必要です。

「格安SIM乗り換え」だけじゃない! - まだまだ見直せる通信費をチェック(画像はイメージ)

家計の中で存在感を増し続ける通信費、いくら払っている?

通信費を巡る状況は、この10年で劇的に変わっています。携帯電話からスマホに主流が変わり、固定電話は減少傾向。更にテレビが地デジに変わったことにより、電話やインターネット回線など様々な料金がセット割引されるなど料金体系が複雑化され、どれがトクなのかわからないまま契約しているという人も少なくないようです。

見直しを行う前に、まずは、毎月どんな通信費にいくら支出しているのか、きちんと洗い出すことから始めましょう。

通信費と一口に言っても、幅広いので、見落としがないようにチェックしましょう。わかりやすいのは、スマホや携帯電話などの料金。一人1台が当たり前になりつつあり、いまや小学生でもキッズスマホを持つ時代、家族の人数分だけこれらの支出がかかっているので、家計への影響は見逃せません。それぞれの端末でいくら払っているかはもちろん、どんなサービスプランになっているか、家族割引など割引制度を利用していくら得しているのかも契約書類などを見直してみてください。

また、インターネット接続サービスの料金も多くの家庭で負担しています。テレビが地デジに変わってから、ネットとテレビ、電話のサービスをセットで契約している家庭も増えています。何となくまとめて払っているからと高額になってもそのまま放置しているケースも見受けられるので、どんなサービスをいくらで受けているか、きちんと把握してみましょう。

さらに、ネットやスマホなどの附帯サービスもチェックを忘れずに。どんなサービスにどれだけのお金を毎月払っているのか、すべて洗い出しましょう。

固定電話サービス、スマホなどはなるべく基本料金が安いプランに

最近では減ってきたといわれていますが、それでも自宅に固定電話を付けている家庭はまだまだ多いと思います。その割にはあまり使っていないというケースが少なくありません。契約も以前のままという人は、基本料金がいくらかかっているかをまずチェックしてみましょう。

基本料は使っても使わなくても毎月かかる最低限の料金なので、ほとんど使わないが、ないと困る固定電話なら、なるべく基本料が安い契約にすることが大事です。

現在NTTの固定電話の月額基本料は1,700円、これをひかり電話などに変えれば1,000円程度安くなります。年間にすると1万円以上の支出減になります。多くの家庭でインターネットを使うようになって、自宅でLANやWi-Fi契約を利用している人も多いと思います。マンションなどで一括加入している場合は見直しは難しいですが、個別に見直しが可能な場合は、安いプランに見直すことで支出削減が可能です。

携帯電話やスマホとのセットで割引になるケースなどもあるので、家族が使っているスマホなどのサービスと併せて見直しを行うことも大事なポイントです。

スマホの契約は複雑で、2年縛りやスマホ本体の分割支払いなどもあり、なかなか見直しがしづらい状況の人が多く、ついつい面倒で後回しにしがちですが、見直しによっては年間に数万~十数万円も違ってくる可能性もあるので、手間がかかっても手を付けたいところです。

大手キャリアで契約をしている人が大半だと思いますが、それらの契約をSIMフリーの格安スマホに変えることで、大幅に携帯電話料金を節約できる人も少なくありません。格安スマホに変えることで携帯メールアドレスが変更になったり、料金プランによってはデータ通信量や通話時間の制限があったりします。しかし、電話を頻繁に使う、動画をスマホで見ることが多いなどをのぞけば、ふだんの使用状況に合わせたプランに変えることで、料金をかなり抑えることが可能なので、検討してみるといいでしょう。

途中で解約することにより違約金が発生するケースもありますが、それを払ってもなおおトクになるケースもあるので、しっかり比較してみましょう。

契約したままの人は要注意! 内容の見直しで支出削減を

また最近では、ネットもスマホも、サービスに加入した当初は最初の数カ月は無料という場合や一定期間は安い料金プランが適用される、あるいは附帯サービスが無料になるなど、様々なおトクサービスがついてるケースが一般的です。当初はおトクだったとしても、いつの間にか本来の料金に戻っていたり、無料サービスが有料になっているのに気付かなかったりする人も案外多いもの。それらのサービスが現在どのようになっているのかも細かくチェックすることが大事です。使っていないサービスに毎月料金を支払っているケースも少なくありません。

さらに、スマホや携帯から派生する月額の固定料が増加しているのも最近よく見られる傾向です。見放題、聴き放題で月額○○円などのサービスが増えていて、一見おトクに見えますが、使わなければいくら少額でもむしろ損です。そうしたサービスにいくら払っているかもチェックして無駄なサービスは解約していくことが必要です。

大きなプランの変更はしたくないという人は、特に、こうした附帯サービスの無駄を省くだけでも、毎月数千円の支出削減ができます。

通信サービスの料金は変化が激しいので、契約したら次の契約までは放置するというのではなく、3カ月ごとなど期間を決めて、こまめにチェックしよりおトクなプランへの変更や、附帯サービスのぜい肉を落とすことが大切です。

※画像は本文とは関係ありません。


堀内玲子
ファイナンシャルプランナー。証券会社勤務後、編集製作会社で女性誌、マネー関連書などの編集を経て93年に独立。96年ファイナンシャルプランナー資格を取得。FPとして金融・マネー記事などの執筆活動を中心に、セミナー講師、家計相談などを行う。著書に「あなたの虎の子資産倍増計画」(PHP研究所・共著)「年代別 ライフスタイル別 生命保険のマル得見直し教室」(大和出版)など。