ANAは12月26日、日本の航空会社として初となるエアバスA320neo(new engine option)の商用飛行を開始。26日の初便となる羽田=関西線(NH95便: 18:15羽田発/19:40関西着)の前に、ANA仕様となった同機が初めて公開された。

国内航空会社初のA320neo

従来のA320に比べて燃費効率が15%改善

ANAホールディングスは2014年3月、国際線の成長原資として7機のA320neoの発注を決定。この7機は2018年度にかけて受領を予定している。エアバス機材としてはこの他、4機のA321ceo、26機のA321neo、および3機のA380を発注している。この内、A321ceoは2016年11月に国内線で運航を開始した。

A320neo初号機は12月17日に受領

従来機であるA320(国内線仕様)のエンジンはCFM 56-5A1(1万1,340kg×2)であったが、A320neoはPW1127G-JM(1万2,160kg×2)を搭載しており、A320neoでは航続距離が6,280kmとなる。この新型エンジン(ギアード・ターボファン・エンジン)は、エンジンのシャフトにギアが取り付けられており、ギアを介してファンの回転を制御する構造になっている。この構造により、従来よりも燃費・騒音の改善がなされる。

ANAは米プラット・アンド・ホイットニー製「PW1127G-JM」を選択

A320neoでは、大型のウイングチップである「シャークレット」が取り付けられているのも特長のひとつ。これにより、誘導抵抗を減らす翼端形状となり、燃費の改善が図られている。このシャークレットと新型エンジンにより、従来のA320に比べて燃費効率が15%改善される。

シャークレットで燃費効率を改善

そのほかの構造・機能の違いとして、全長(37.6m)と巡航速度(840km/h)は同じだが、全幅はA320neoが35.8m(A320が34.1m)、最大離陸重量はA320neoが79トン(A320が67トン)、最高運用高度はA320neoが1万2,100m(A320が1万1,900m)、燃料容量はA320neoは6,280U.S.G.(A320が6,300U.S.G.)となる。

全席タッチパネル式に

26日に初めて公開されたANA国際線仕様のA320neo機内には、ビジネスクラス8席、エコノミークラス138席を設置。なお、従来のA320(国内線仕様)はエコノミークラスのみの全166席となっている。

A320neoのコックピット

A320neoならではと機能としては、小型機でありながら中・大型機並みの機内設備となっているのが特長。ビジネスクラスには電動リクライニングシートを採用し、エコノミークラスを含む全席でタッチパネル式パーソナルモニターを完備している。

ビジネスクラスは8席

また、A320neoから新しいエンターテイメントシステム(ZODIAC INFLIGHT INNOVATIONSのシステムである「Rave」)を採用し、モニターのデザイン性や操作性を高めた。そのほか、機内インターネットサービス「ANA Wi-Fiサービス2」も装備しており、ライブテレビ(無料)やインターネット接続サービス(有料)、e-booksサービス(無料)を全クラスで楽しめる。

「ANA Wi-Fiサービス2」も装備

ビジネスクラスの電動リクライニングシートはRECARO社製で、レッグレストとフットレストを供えている。シートピッチは50インチと、小型機最大級となる空間を確保。タッチスクリーン型の12インチパーソナルモニターのほか、PC電源やUSBポート、携帯電話などの小物収納スペースを設けている。

ビジネスクラス

エコノミークラスのシートはZODIAC AEROSPACE社製であり、滑りにくいよう布を用いた最新薄型軽量モデルで、シートピッチは31インチとなる。タッチスクリーンパネル型10インチのパーソナルモニター、PC電源やUSB充電ポートを備えている。

エコノミークラス

ギャレー

ラバトリー

初便はほぼ満席

同機は2017年1月中旬より、中国線などの近距離国際線の定期便に導入を予定しているが、今回は定期便運航に先駆けて、12月26日に羽田=関西線(NH95便: 18:15羽田発/19:40関西着)で初導入されることとなった。今後も不定期に国内線への投入を予定している。初便は26日13時現在、予約は162人とほぼ満席での門出となる。この初便運航前には就航式典を実施し、搭乗口にて乗客に記念品のプレゼントを行う。

初便は羽田=関西線(NH95便: 18:15羽田発/19:40関西着)

A320neoに関しては現在、世界で14社が運航しており、今回ANAが日本で初めて導入する。なお、LCCのPeach Aviationも2016年11月18日に10機の購入契約を締結し、初号機は2019年夏までに受領を予定している。

A320ファミリーはこれまでに1万2,800機以上の受注を獲得し、約400社の顧客に7,250機以上を引き渡しているベストセラー単通路型機。エコノミークラスにおいて標準18インチの快適な座席を装備していることに加え、サイズの異なる4機種(A318、A319、A320、A321)で構成されており、100席から240席を設定することができる。