新型「インプレッサ」が日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞するなど、快進撃を続ける富士重工業(スバル)。円高進行により、2016年度中間決算では減益が相次いだ日本の自動車業界にあって、決算発表で「(減益でも)実力は上がっている」と語った吉永泰之社長の表情は明るかった。2016年度下期は1ドル=100円想定で減益予想だが、それでも今期の営業利益率は10%台をキープする見通し。その“稼ぐ力”の源泉はどこにあるのだろうか。

インプレッサに盛り込まれた最新技術

「第37回 2016 - 2017 日本カー・オブ・ザ・イヤー」の最終選考会が12月9日に行なわれ、富士重工業(来年4月にスバルへ社名変更、以下:スバル)の「インプレッサSPORT/G4」が栄冠に輝いた。

新型インプレッサの「SPORT」(左)と「G4」

第5世代となる新型インプレッサは、スバルが中期経営ビジョン「際立とう(きわだとう)2020」において、次世代モデルの第1弾として位置づけた戦略車だ。ユーザーに最高の「安心と愉しさ」を提供することを目指し、次世代プラットフォーム「SUBARU GLOBAL PLATFORM」をはじめとした様々な新技術を採用して投入した。

ボディタイプを5ドアハッチバックの「SPORT」と4ドアセダン「G4」とし、エンジンは新開発の2.0L水平対向4気筒直噴NAエンジンと1.6LのNAエンジンを用意。スポーツタイプの車両として動力性能を高めながら、軽量化と燃費改善を達成している。

また、国産初となる歩行者保護エアバッグと「アイサイト(ver.3)」を全車標準装備とするなど、「総合安全性能」と「動的質感・静的質感」の大幅向上が高く評価された。スバルが日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞するのは、13年前(2003 - 2004)のレガシィ以来のことだ。

スバルの最近の躍進は、業績面で売上高営業利益率10%以上を確保する、トヨタ自動車や日産自動車もかなわない“ダントツ”の収益性に結実している。インプレッサの日本カー・オブ・ザ・イヤー受賞は、スバルのこのところの快進撃を象徴するものといえよう。

2015年度は17.5%、際立つスバルの営業利益率

スバルの2015年度(2015年4月~2016年3月)業績は、売上高3兆2,323億円、営業利益5,656億円、経常利益5,770億円、当期純利益4,367億円。4期連続の増収増益で過去最高益を更新している。特筆すべきは、本業の儲けを示す売上高営業利益率が17.5%と、自動車メーカーの中では日本勢のみならず、海外と比較しても際立って高いことだ。

前期業績で比較するとトヨタが10.0%と2桁台に乗せたが、あのトヨタでもスバルには営業利益率で届かない。日産は6.5%にとどまり、ゴーン日産の中期経営計画「パワー88」は営業利益率を8%に乗せることを目標としているほどである。これを見ても、いかにスバルの営業利益率が高く、収益性が良いかが分かるのだ。