ここからは個人的な話になるが、実は筆者も今年の5月、スルガ銀行ANA支店に口座を開設して給与口座として使っている。もちろん「ANA マイレージクラブ Financial Pass Visa デビットカード」も発行済みである。

ANA支店ユーザーである著者が勝手にレビュー

ANA支店に口座を開設してからの約半年の正直な感想は「使い勝手はそこそこ。がっつりマイルが貯まるわけではないが、持っているだけでも得」というもの。なぜそのように感じたのか、同カード及び口座の使用感とメリット・デメリットを簡単に紹介しよう。

ANA支店と「ANA マイレージクラブ Financial Pass Visa デビットカード」をレビュー

デメリット:マイルはもらえるが還元率はあまり良くない

ANA陸マイラー必携のカードといえば、高還元率が特徴の「ANA To Me CARD PASMO JCB(ソラチカカード)」だ。年会費が2,000円(初年度は無料)かかるのだが、東京メトロで通勤する人であればとにかくオトクな1枚である。

一方、「ANA マイレージクラブ Financial Pass Visa デビットカード」は100万円利用で3,000マイル付与。還元率から考えると、同カードをメインカードとするのは、ANAマイルを効率よく貯めたい人には向いていない。そもそも同カードに限らずデビットカードはクレジットカードに比べてポイント還元率が低い事が多いのだ。

しかし、給与口座や電話料金引き落とし口座に設定するだけで勝手にANAマイルが貯まる銀行は、今のところスルガ銀行 ANA支店のほかにはない(2016年10月21日時点)。しかも、同カードは年会費無料。つまり、持っていても赤字になることはない。

よって、マイル稼ぎを最重視するユーザーなら、還元率の高いソラチカカードなどのクレジットカードをメインにしてがっつり貯め、ANA支店を給与口座や電話引き落とし口座にしてコツコツ貯める"二重取り"が1番お得な使い方だと言えるだろう。

そして、「クレジットカードの後払いが嫌!」「ついカードを使いすぎてしまう!」「だけどマイルは貯めたい」という人には、このデビットカードは1番のお供になってくれるはずだ。

実際、スルガ銀行 鈴木氏にマイル付与とユーザーの傾向を聞いたところ、「海外出張が多い方や20代女性が中心。デビットカードは審査がないので、リタイアした人(お金はあるが退職しているためクレジットカードの審査が通らない)の申し込みも多い。ANAマイルが貯まる唯一のデビットカードという立ち位置で年会費も無料なので、還元率の高いレジットカードと競合する、というよりは併用を考えていただければ」とのことだった。

メリット:海外旅行で使いやすい

同カードは、"ANA"のイメージ通り、海外での使い勝手が良い。海外旅行傷害保険は無料で自動附帯だし、Visa加盟店で買い物もできる。

「渡航前に口座にお金を入れておけば、両替することなくカードで買い物ができ、ATMで現金も引き出せる。けがをしたときの保険やカードで購入した商品の破損や盗難補償も充実しているので、海外出張や旅行、留学に便利な1枚」(スルガ銀行 鈴木氏)

鈴木氏が述べるように、海外で現金が必要になった場合は、ATMで自身の口座から現地通貨を引き出すことも可能だ。キャッシング機能付きクレジットカードでも海外ATMから現地通貨を引き出すことができるのだが、キャッシング日から返済日までの日数分、利息が発生する。一方、デビットカードは自身の口座からお金を引き出す仕組みなので、利息はかからない。実際に旅行先で使ったが、特にトラブルなく現金を手にすることができた。

ただし、同カードの場合、1回の利用ごとに216円(税込み)の手数料と海外取り引き事務手数料3.0%がかかり、更に一部ATMでは追加の手数料が必要なところもある。海外ATMで現金を引き出すときは、デビットカードの手数料とクレジットカードキャッシングの利息、どちらがお得かをしっかり計算するべきだろう。

また、海外で使用することを考えると、以前に取材したソニー銀行の「Sony Bank WALLETのように「外貨預金口座から直接決済」ができると更にお得に使えそうだが、残念ながらANA支店ではまだ実装されていない。ただ、鈴木氏によると「検討中」とのことなので、今後の導入に期待したい。

メリット&デメリット:手数料無料で使えるATMが多いが……

スルガ銀行の本拠地は静岡県。都内在住の人にとっては使いづらいのでは? と思うかもしれないが、都内に数店舗支店があるほか、提携金融機関のATMが利用可能なので心配はいらない。すべてのユーザー(STAGE01)は、スルガ銀行、セブン銀行、E-net、タウンネットワークサービス、ゆうちょ銀行、イオン銀行のATMを出金手数料無料で利用できる。

ただし「出金手数料無料時間」には注意が必要だ。スルガ銀行、セブン銀行、E-net、タウンネットワークサービスのATMは平日7時~18時と土曜日の9時~14時(STAGE01)のみが手数料無料。それ以外は108円~216円の手数料が必要となる。ゆうちょ銀行の出金手数料無料時間帯は平日7時~18時、土曜日は9時~14時、イオン銀行は平日8時~18時、土曜日8時~14時となっている。

社会人が急に現金を必要とするのは、仕事終わりの飲み会や休日遊びに出かけるときが多い。スルガ銀行に乗り換える前に給与口座にしていた三菱東京UFJ銀行の場合、平日・土日祝ともに8時45分~21時は同行ATM利用手数料が無料(同行キャッシュカード利用)だったので、残業した後にお金をおろしに行っても間に合ったのだが、18時までとなるとちょっと厳しい。手持ちがなくて慌ててコンビニに駆け込み、手数料108円を支払うたびに、「夜や週末にATMが無料で使えないのは使い勝手が悪いかもなあ……」と思ってしまうのである。

よって、「平日の昼にしか引き出しをしない!」と決めている人はいいが、急に現金が必要になることが多い人は、無料時間が長い銀行口座との併用を考えた方が良いかもしれない。

※ATM出金手数料無料条件はステージが上がるごとに拡大する。詳しくは、同行HPで確認して欲しい。

まとめ

上記のほか、デビットカードとキャッシュカード、マイレージカードが一体になっているので財布が少し薄くなるというメリットもあった(ミニマリストの人にはすごくいいかも!)。

言いたい放題言ってしまったが、ANAマイルを貯めている人なら持って損はない同口座。前ページで紹介した日本橋の「スルガ銀行 ANA支店 Financial Center」では最短30分で「ANA マイレージクラブ Financial Pass Visa デビットカード」も発行可能なので、興味がある人は足を運んでみてはいかがだろうか。

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