銀行預金口座から即時決済ができる「デビットカード」。10月にはソニー銀行から世界11通貨に対応した「Sony Bank WALLET」が発表されるなど、更に注目が集まっている。今回は、実際にデビットカードを1年半使用して感じた「デビットカードのメリット・デメリット」を紹介する。

メリット1 即時決済で使用額が把握できる

「デビットカード」とは、クレジットカードのように店頭やネットショッピング等で使えるカード。三菱東京UFJ銀行やりそな銀行、楽天銀行などの各金融機関が発行しており、VisaやJCBといった国際ブランドのネットワークを使って決済を行う。ちなみに、キャッシュカードをそのまま支払いに利用できるJ-Debitというものもある。

クレジットカードとの違いは、代金が銀行の預金口座から直接引き落としされるという点だ。デビットカード払いで買い物をする場合、クレジットカードと同じ機械に通し、暗証番号を入力(またはサイン)する。あとは口座からお金が引き落とされるので、レシートを受け取って支払い完了となる。

デビットカードは後日まとめて請求されるわけではないので、うっかり予算を超えてしまうということが少なく家計管理がしやすい。また、「限度額=口座の残高」になるので、支払い能力を超えた無理な買い物は確実に減った。

メリット2 忘れていた支払いに気がつく

VisaやJCBブランドのデビットカードでは、使用すると登録したメールアドレスに利用通知メールが届くので、身に覚えがない支払いや不正利用にすぐ気がつくことができる。

またフェリシモやAmazon定期オトク便など、定期的に荷物が届くネットショッピングや各種サービスの年会費をデビットカード引き落としに設定しておいたことで、忘れていた支払いのリマインドにも。つい見落としがちな「解約忘れ」による出費を最小限に抑えられた。

メリット3 家計簿アプリと連動で便利に

使いすぎの心配が少ないデビットカード。使用に当たっては、残高を把握しておく必要があるが、家計簿アプリと併用することで簡単に管理できる。

MoneytreeやZaim、Money Forwardなどの家計簿アプリは、銀行をはじめとする各種金融機関と提携を結んでおり、口座を登録することができる。デビットカードの引き落とし口座を登録しておけばスマートフォンで簡単に残高の確認ができるので、高額な買い物をするときに「残高不足でデビットカード払いができない」という事態を防ぐことが出来た。

また、デビットカード自体をアプリに登録しておくと、使用額が自動入力される機能もある。面倒な記録の手間を省き、残高を常に意識することで家計管理に対する苦手意識も減ったように思う。

デビットカードイメージ。クレジットカードと同じように、表面に16桁の数字と有効期限、契約者名が記載されている

続いては、実際に使っていて「不便だな……」と感じたデメリット3つを紹介する。

デメリット1 一部の高速道路やガソリンスタンドで使えない

車を使う場合、一部の高速道路やガソリンスタンド、カーシェアリングではデビットカード払いができないことがある。そのため、財布にはサブカードとしてクレジットカードを入れておくか、相応の現金を用意しておかないといけないので結構不便だ。

デメリット2 分割払いができない

「口座から即時引き落とし」が特徴のデビットカードでは、分割払いができない。2回目以降の支払い時に口座にお金があるかどうかは、支払い時点では確認しようがないからだ。「高額な買い物をしたいが残高が足りない」というときは、現金かクレジットカードの分割払いで対応する(あるいは諦める)ことになる。

デメリット3 還元率はクレジットカードの方がお得!?

デビットカードを発行している金融機関では、使用した分のキャッシュバックやポイント還元制を導入しているところがある。例えば楽天銀行(一般カード)では1,000円で2ポイント、りそな銀行(JALカード)では200円で1マイル、三菱東京UFJ銀行では0.2-0.4%のキャッシュバック、イオン銀行では5%OFFなどのイオンクレジットカードと同等の特典がついてくる(2015年10月時点)。

私は普段の買い物のほか固定費などもデビットカード払いにしているので、ちょこちょことキャッシュバックを受け取っている。しかしながら、還元率を計算してみると「クレジットカードの方がお得」ということもあるようだ。また、楽天銀行やりそな銀行、三菱東京UFJ銀行など一部のカードは年会費がかかるので、その分も考慮したほうが良いだろう。