――栄養調整食品をダイエットに取り入れる場合の注意点があったら教えてください。

私も大学生の頃、栄養調整食品でダイエットをしようと思い、そればかり食べていました。でも意外とカロリーが高いことに気づき、同じカロリーのものを食べるなら、食事のほうがいいと思ってやめてしまいました。

日常生活が忙しい方で食事をとる時間もないという場合は、簡単に栄養補給ができるといった点では、うまく利用すればよいのかもしれません。自分が食べていい1食分のカロリーを大体把握して、その範囲内であればよいかと思います。ただ、それだけになってしまうと、栄養のバランスが悪いです。3食のうち1食は栄養調整食品、それ以外は野菜たっぷりの食事にするなど、さまざまな栄養素を食品からバランスよく摂取することが大切かと思います。

――豆腐やフルーツなど、1つの食品を食べてカロリーを制限する単品ダイエットの注意点があったら教えてください。

繰り返しになりますが、ダイエットでは、いろんな栄養素をバランスよく摂取することが大切です。栄養素のことを考えずにカロリーだけを制限して単に体重を落とすことと、きれいに痩せることは違います。健康的かつきれいに痩せるには、さまざまな栄養素を取り入れながら、カロリーも控えることが必要です。

また、単品ダイエットの落とし穴は、それが一生は続けられない点です。最近、患者さんに申し上げるのは、「ダイエットは期限を区切ってするものなのか? 」ということです。確かに、夏までに何キロ痩せたいからと食事制限や運動を頑張れば、目標体重を達成することも可能でしょう。でも、ダイエットをやめて元の生活に戻せば、体重も元に戻ってしまいます。

痩せることだけに集中すると、その後のことまで気が回らない方も多いようです。私は、ダイエットは健康に生きていくために一生続けるものと考えています。一生続けなくちゃいけないから、逆算して、毎日何ができるかを考えます。"ストイックな方法で短期集中、やめたらリバウンド"ではなく、ゆるーい方法で毎日継続する方が最終的に結果が出るのではないでしょうか。

――健康に痩せるためには、どのように目標を設定し、どのような方法で痩せるのが適切でしょうか。

まずは毎日体重を測り、グラフ化することが有効な方法だと思います。体格指数を示すBMIでいうと、「BMI18.5未満」は痩せすぎ、「18.5以上25未満」は普通体重、「BMI25以上」は肥満に。BMI22(標準体重)以下の方は、ダイエットの必要性はありません。

やや太り気味や肥満の方がダイエットをする場合、現体重の3~5%を落とすだけで、血糖、脂質、血圧などが改善すると言われています。ですので、ダイエットの目標としては、現体重の3~5%を落とすこと。そして体重を落とすペースは、月1~2kg程度が適切です。脂肪1kg減らすのに約7,000kcalを減らす必要があります。つまり計算上は、食事を工夫し運動をして、1日当たり約200kcalの減量ができれば1kgを減らせます。

ただ、ダイエットは計算通りにいくものではありません。女性なら毎月、生理があるので、生理周期によるホルモンバランスで体重は変動します。ですから、体重測定をして一喜一憂せず、自分で毎日何ができるか、ゆるーい目標を決めて継続すること。それが習慣化し、結果として体重が落ちてくるというようなイメージでダイエットをするのがよいのではないでしょうか。

※写真と本文は関係ありません

取材協力: 山本祐歌(ヤマモト・ユカ)

日本糖尿病学会専門医、日本抗加齢医学会専門医。En女医会所属。

En女医会とは
150人以上の女性医師(医科・歯科)が参加している会。さまざまな形でボランティア活動を行うことによって、女性の意識の向上と社会貢献の実現を目指している。会員が持つ医療知識や経験を活かして商品開発を行い、利益の一部を社会貢献に使用。また、健康や美容についてより良い情報を発信し、医療分野での啓発活動を積極的に行う。En女医会HPはこちら。