続いて、足が悪いため遠出ができない70代の女性が夫と死別した後に迎骨のサービスを利用する様子が紹介された。

女性は高齢で結婚したため、夫の親戚を知らず一緒に入る墓もない。年金生活で十分な蓄えもなく、新たにお墓を購入できないためやむなく自宅に遺骨を置いていたが、「ストレスがすごかった。お骨があると責められている感じがした」と話す。そんなとき、迎骨のサービスを知り、利用することを決めた。

3万円と交通費を支払えば、NPOのスタッフが遺骨を引き取った後、寺の合同墓に運び埋葬してくれるという。遺骨を引き取る車が去っていくのを喪服姿で見送った女性は「ほっとしたという感じもあります。悩んでいたから」と心の荷が下りたようだった。迎骨をしているNPOには年間2,000件の問い合わせがあるそうだ。

送骨利用者の思い

本来は遺骨を引き取る家族・親族の関係が疎遠になっていることなどが背景となって生まれたサービスもある。それが送骨だ。送骨を利用した人は、どのような思いだったのだろうか。

送骨を利用した女性はある日突然、14年前に離婚した元夫の死亡を知らされた。と同時に、元夫のいた自治体から遺骨を引き取るよう依頼された。離婚後、女手一つで2人の娘を育ててきたという女性は当初、戸惑った。離婚後ほぼ音信不通だったのに、なぜ私が遺骨を引き取らないといけないのか――と。

ただ、遺骨をいったん引き取ったことで、家族に変化があったという。元夫が撮影した昔のアルバムに収められている娘の写真を眺めた女性は、「子煩悩でしたから」と昔の記憶をかみしめるように、懐かしむように話していた。

元夫との14年ぶりの"対面"を果たすと、送骨までの10カ月間を一緒に過ごした。画面には、女性と女性の娘が遺骨の前で合掌する姿が映し出されていた。「ありがとうって言いたいです」と話す娘と一緒に遺骨郵送の準備をする女性。送骨がせめてもの供養の形だと考えている女性は、「安らかに新しい場所で子どもたちを見守ってください」と願っていた。