どんな分野でも流行は移りかわってゆくものだが、インテリアの世界も例外ではないようだ。「北欧家具」は流行の最先端ではなくある種の"定番"となり、今は別のトレンドがシーンの先頭にいるらしい。9月1日に楽天が発表した「楽天インテリアトレンド」の詳報から、"今キテるインテリア"の姿を探ってみよう。

これから流行するインテリアとは?

楽天が10個のトレンドワードを発表

今回発表された「楽天インテリアトレンド」は、インターネット上のショッピングモール「楽天市場」のインテリア担当とインテリアコーディネーター・荒井詩万氏が選考委員となってはじきだした2016年~2017年のトレンドワードだ。「楽天市場」における購買データやインテリア業界の最新の動向をもとに、2016年のトレンドワード5個、2017年に予想されるトレンドワード5個の計10個が発表された。

■2016年のトレンドワード
・「塩系インテリア」
・「ブルックリンスタイル」
・「賃貸プチリフォーム」
・「超効率インテリア」
・「西海岸スタイル」

■2017年のトレンドワード
・「カラフルパワフル」
・「タッキー」
・「やわらかモノトーン」
・「フェミニンデコ」
・「モダンボタニカル」

「楽天インテリアトレンド」の選考員を務めたインテリアコーディネーターの荒井詩万氏

同社は、この企画によって選出されたトレンドワードを、家具付きの賃貸物件「楽天アパートメントハウス」や、楽天本社の一角を改装した1カ月限定の会議室「住みたくなる会議室」で再現。設置された商品は、全て「楽天市場」で取り扱っているものだという。これらの部屋を紹介しながら、楽天が紹介したトレンドワードを追っていこう。

塩系インテリア

最初に紹介する「塩系インテリア」は、気づいている人も多いと思うが、「塩系男子」という言葉から派生したトレンドワードだ。塩系男子とは、あっさりした薄めの顔立ちの男性のこと。「塩系インテリア」は、そんな「塩系男子」と同様に、色素が薄いトーンで統一されているのが特徴だ。

楽天の「住みたくなる会議室」で再現された「塩系インテリア」の部屋は、真っ白な壁紙がまさに「塩系」という印象。家具も白っぽいパイン材を使ったものが多いが、黒いアイアン素材がアクセントとして全体を引き締めている。武骨ながら、生活感のないすっきりとした雰囲気を楽しめる。

色素の薄いトーンの中で、黒のポイントがちょっと男前な「塩系インテリア」

小物のセレクトにもこだわりたい

ブルックリンスタイル

「ブルックリンスタイル」は、ニューヨークのブルックリン地区にあるアパートをイメージしたスタイル。古い白壁やレンガ塀を模した壁にヴィンテージ家具をミックスし、レトロでほどよい生活感のある雰囲気が魅力を醸しだす。

ニューヨークのブルックリン地区にあるアパートをイメージした「ブルックリンスタイル」

「住みたくなる会議室」では、コンクリート調の壁紙とレンガ柄の壁紙でブルックリンのアパートの雰囲気を再現。黒いアイアンがアクセントになった木製家具は、「塩系」とは違って色味が深い。ブルックリンスタイルに欠かせない「ロールサイン」なども飾り、遊び心あふれる空間に仕上げた。

(左)「ロールサイン」は、バスが搭載していた行き先表示のこと。本物は高価なので、ロールサイン風のアイテムを手に入れよう。(右)ヴィンテージ風のランプにはグリーンをアクセントに

色の濃い家具で、深めのトーンに仕上げた

カラフルパワフル&タッキー

3室ある「住みたくなる会議室」の最後の1部屋は、2017年のトレンドである「カラフルパワフル」と「タッキー」を取り入れた部屋だ。

「カラフルパワフル」とは、ビビッドな暖色を取り入れた文字通りカラフルでパワフルなスタイル。「タッキー」とは、英単語の「Tacky(悪趣味な)」に由来する通り、柄に柄を重ねた"悪趣味ギリギリ"なスタイルを指す。ファッション界では一足先に訪れていたトレンドなのだ。

「カラフルパワフル」で「タッキー」な部屋。派手派手だがセンスがいい!

オレンジがかったピンクの壁紙を左右に貼り、入り口正面には中東のじゅうたんをイメージしたという細かい民族柄の壁紙を配置。ソファの上に置かれているクッションも、ビビッドな色遣いの幾何学模様、大きな鳥の柄、民族模様と派手なあしらいとなっている。極めつけには、敷かれたラグもストライプ柄だ。

クッションの柄も大胆に

この部屋が"悪趣味"ではなく「カラフルパワフル」で「タッキー」な部屋となっているのは、アイテムに使用している色を合わせているから。色味で統一感を出すことで、単なる"悪趣味"ではなく1つのスタイルとして独特の雰囲気を成立させている。

小物は控えめ

やわらかモノトーン&フェミニンデコ

続いては、「楽天アパートメントハウス」から「やわらかモノトーン」と「フェミニンデコ」を取り入れた部屋を紹介。なお、「楽天アパートメントハウス」は実際に入居者募集をしており、備え付けの家具も全て入居者にプレゼントするという。9月5日時点で問い合わせ多数とのことなので、早いもの勝ちになりそうだ。ちなみに同物件は、神奈川県川崎市のマンション「アスラン宮崎台」の2部屋が該当。管理はエヌアセットが行っている。

「やわらかモノトーン」と「フェミニンデコ」を取り入れた「楽天アパートメントハウス」の部屋。入居者募集中(9月5日現在)

「やわらかモノトーン」は、2016年~2017年の注目カラーというモノトーンに、パステルカラーをプラスした女性らしいスタイルだ。「フェミニンデコ」では、"シノワズリ(ヨーロッパ風中国趣味)"のほか、花や田園風景のモチーフを散らしたテキスタイル"トワル・ド・ジュイ"などの女性らしいアイテムに注目。シンプルな空間を華やかにデコレーションする。

この2つのスタイルを融合させた部屋で際立つのは、淡いピンクの小物と、品よく華やかな柄のクッションやアート。クールな印象のモノトーンスタイルの中にこうしたアイテムを配置することで、より上品で柔らかな雰囲気を際立たせている。

モノトーンの中に、パステルカラーや柄物の小物を効果的に取り入れる

ランプは鹿の角がモチーフ

賃貸プチリフォーム

「楽天アパートメントハウス」には、2016年のトレンド「賃貸プチリフォーム」を再現した部屋もある。インテリアのテイストというよりは、住み方・暮らし方の傾向を表したトレンドワードだ。

「賃貸プチリフォーム」の部屋は、「やわらかモノトーン」&「フェミニンデコ」と同じ物件にある

この部屋では、収納ボックスやチェストを積み重ねて棚を作ったり、マスキングテープや壁紙を貼ってヴィンテージ風家具に仕上げたりと工夫がいっぱい。壁や天井に穴を空けることなく、部屋の雰囲気をガラッと変えている。

収納ボックスを重ねて作ったディスプレイ

木目に見えるのは壁紙

サビに見えるのはマスキングテープだ

モダンボタニカル

最後に紹介するのは、「楽天アパートメントハウス」の「モダンボタニカル」の部屋。植物を使った自然志向のナチュラルテイストである「ボタニカル」に、ナチュラルなアイテムではなくモダンなインテリアを組み合わせた洗練されたスタイルだ。

グリーンを使いながらもナチュラルテイストに偏らない「モダンボタニカル」な部屋

この部屋ではフェイクグリーンを活用し、インテリアとしての持続性を重視。壁紙は1面をネイビカラーのものに張り替え、深い茶色の木と黒いアイアンを組み合わせた"男前インテリア"と合わせてモダンにまとめた。ソファは、グリーンカラーでベロア素材のものをセレクト。"ボタニカル"と"モダン"の要素を違和感なく融合させている。

窓辺では、カーテンではなくウッドブラインドを使用

グリーンとネイビーの壁紙が調和する

ランプにもグリーンを

西海岸スタイル&超効率インテリア

さて、今回は実例で紹介することのできなかった2016年のトレンドワード「西海岸スタイル」と「超効率インテリア」について、簡単に紹介しよう。

「西海岸スタイル」は、カリフォルニアに代表されるアメリカ西海岸のような、開放的でリラックスしたマリンスタイルの空間のこと。明るいトーンで、光をいっぱいに取り入れる空間活用がポイントだ。

「超効率インテリア」は、ロフトベッドや折りたたみ可能な家具、隙間収納などを活用して空間を効率よく使うインテリアの活用法のこと。都市型の生活では、とにかく居住空間が限定されがち。立体的に空間を活用することで、最大限に可動域を広げることができるのだ。

明るく開放的な「西海岸スタイル」

「超効率インテリア」も2016年のトレンド。ベッド1つ分のスペースに、収納もソファも詰め込むことさえ可能

いかがだっただろうか。流行ばかり追いかけるのもむなしいものだが、自分のこだわりの部屋の中で、取り入れられそうなトレンドをワンポイントでもおさえていれば、空間が一気にあか抜けた印象になるかもしれない。模様替えや転居を考えている人はもちろん、ちょっと気分を変えたい、なんだか今の部屋に満足できない、という人にもオススメだ。

※記事中の情報は2016年9月取材時のもの