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きちんと妊娠するためには、卵子も精子も健康であることがもちろん理想ですが、では、どうしたら健康的な卵子、精子を保てるのでしょうか。今回はEn女医会の産婦人科専門医・船曳美也子先生にお聞きしました。
――まず、どのような卵子が健康と言えるのでしょうか?
妊娠に結びつきやすい卵子という観点では、難しく言うと染色体が正常ということになりますが、そうした健康的な卵子を作るには、日常生活で気をつけなくてはならないことがいくつかあります。
卵子の注意ポイント、優先順位1位は年齢に
――気をつけなくてはいけないポイントを教えてください
男性も女性も実は気をつけなくてはいけないポイントは同じなのですが、優先順位が違います。
卵子の場合は、(1)年齢です。卵子はひとつでもあれば妊娠は可能ですが、年齢とともにその「質」が落ちてしまうのです。卵子はもともと細胞分裂する前の状態でお腹の中にあります。排卵すると分裂を再開するのですが、分裂しないで待っている状態が長過ぎると、再開に支障が出やすくなるのです。
――二つめのポイントは?
(2)タバコです。細胞分裂を再開するには大きなエネルギーが必要です。そのエネルギーの元を作り出す段階で、タバコが悪影響を及ぼすことがわかっています。さらに、卵子の抗酸化力を落としてしまう可能性も高いので、喫煙を避けたほうが良いですね。
――(1)年齢、(2)タバコ、次に重要なのは?
(3)肥満です。脂肪細胞というのは、さまざまなホルモンの分泌に関わっています。脂肪細胞が正常なら体に良いホルモンが出ます。肥満によって脂肪が大きくなりすぎると、炎症をおこすホルモンが出てしまいます。すると、卵細胞の成長に必要なホルモンが足りなくなってしまうことがあるのです。
ただし皮下脂肪が一定量ないとホルモンの不足につながります。ですから、痩せ過ぎも問題ですね。皮下脂肪が足りなすぎると、脳が卵巣に働きかけなくなります。すると、卵自体を生産しなくなってしまいます。
精子の健康を保つには、まずはタバコに注意
――では、元気な精子のために気をつけなくてはならないことの優先順位を教えてください
精子の場合、順番は(1)タバコ、(2)肥満、(3)年齢です。
――年齢の優先順位は3位なんですね
はい。女性は年齢の影響をダイレクトに受けやすいのに対して、男性は、50歳になっても、20代の頃の7割ほどの妊娠力を保つといわれています。女性は、一般的に、40代になると20代の頃の妊娠力の5分の1に落ちるといわれています。
妊活のスタートは、まずは禁煙から
――男性にとっても女性にとっても危険なタバコですが、その悪影響を体から抜くにはどのくらいの時間がかかるのでしょうか
男性で3カ月、女性で6カ月くらいが目安です。卵子はタバコの影響をダイレクトに受けてしまいますが、男性は思春期以降、常に精子を新しく作り続けていますから。
他に、ストレスをためない、抗酸化力の高い緑黄色野菜やくだものをとる、寝不足をさける、また妊娠力には、クラミジアといった性行為感染症を避けることも大切です。
――妊活を始めるなら、まずはタバコをやめ、食生活の見直しにより肥満を解消していく必要があるのですね。ありがとうございました!
■プロフィール
船曳美也子
1983年 神戸大学文学部心理学科卒業、1991年 兵庫医科大学卒業。産婦人科専門医、認定産業医。肥満医学会会員。医療法人オーク会勤務。不妊治療を中心に現場で多くの女性の悩みに耳を傾け、肥満による不妊と出産のリスク回避のために考案したオーク式ダイエットは一般的なダイエット法としても人気を高める。自らも2度目の結婚で43歳で妊娠、出産という経験を持つ。En女医会にも所属している。