たびたび過熱する、アイドルや芸能人の「整形疑惑」。デビュー当時と比べて「二重のラインが変わった」「鼻が高くなった」「エラがなくなった」「胸が大きくなった」など、世間の目は手厳しい。
そういう話題を耳にするたびに、「本当なのだろうか? 」という疑問がぬぐえない。というのも、自分自身や周りを振り返ってみても、成長に伴う変化はもちろん、ダイエットやメイクなどによって外見が変わることはあったからだ。
そこで今回は、湘南美容外科クリニックの福澤見菜子医師に、美容整形による変化と成長や加齢による変化を見極めるポイントについてお聞きした。
キレイなら整形疑惑もかき消されるはず
最近、美容整形がゴシップのネタになっている芸能人の方も多いですね。私自身もそういう記事を読むことがありますし、聞かれることも多いです。「この人はヒアルロン酸を入れているな」などと思うこともありますし(笑)。
美容整形外科医としてまずお伝えしたいのは、美容整形はキレイになるための選択肢の1つということです。ご本人が納得して決断した上で、美容整形によって長年のコンプレックスが解消されたり、なりたい自分になれたりと、前向きな気持ちになれるのであれば、決して悪いことではないと思います。
ただ、美容整形には賛否両論があるのも事実です。個人的には、仮に昔と今で顔の印象が変わっていたとしても、それが皆が憧れるような美しさなのであれば、次第にネガティブな整形疑惑もかき消されるものだと思います。そうではない場合、つまり自分の外見に違和感を覚える人が多いような場合は、整形をやりすぎているサインかもしれません。「昔のほうがよかった」「劣化した」などと騒がれるのは、裏を返せば「そのままでいいんだよ」という心配の声なのではないでしょうか。
「美容整形」と「成長」の境界線
美容整形外科医の目から見ると、それが美容整形による変化なのか、成長や加齢に伴う変化なのかは大体見当がつきます。ここからは、そのポイントをパーツごとにお伝えしていきます。
■目
日本人の目は、「蒙古ひだ」といって目頭に皮膚がかぶさっている形が多いのですが、これは成長とともになくなるものではありません。二重整形の切開法をすると隠れていたラインが表に出てくるので、平行二重になって目が大きくなります。
一般的に、一重が二重になったのを見て整形を疑う人も多いと思いますが、実は加齢とともに二重の人の数は増えています。なぜかというと、まぶたの脂肪は年を重ねるにつれて薄くなるので、昔は一重だったのに自然と二重になった、という人も意外に多いのです。また、二重テープなどのクセで二重になる人もまれにいます。
■鼻
鼻は概して成長で変化しづらい部分です。まず高さが変わるような変化は、鼻にプロテーゼを入れているか、プチ整形としてヒアルロン酸注射をしていることが考えられます。
また、小鼻が小さくなったという人も自然な変化とは考えにくいでしょう。加齢とともに骨格は痩せて平たんになります。そうすると脂肪も減るので、頬から引っ張られて小鼻はやや広がることが多いです。
■エラ
「小顔」に関しては、体重の増減によっても輪郭の見え方は変わるので一概には言えません。ただ、ベース型の輪郭などでエラの角がなくなっている人は、エラを削る手術をしている可能性があります。
一方で外への張り出しがなくなる人は、必ずしも整形を受けたとは言い切れません。一般的に加齢とともに筋肉は萎縮しますし、食べ物を噛むときに使う筋肉(咬筋)は、エラのボトックス注射以外にも歯ぎしりや噛み合わせによって変化し得ます。
■額(おでこ)
もともと額にしわが寄らない人もいますが、ツルツルしすぎていてしわがなく、額が動かないような場合は、ボトックス注射を打っているサインかもしれません。ボトックス注射のやりすぎは、美容整形外科医が見ればすぐにわかります。
額が丸みをおびているのも、成長による変化とは考えにくいでしょう。本来、額は加齢とともに痩せて骨ばっていく部分。額の丸みが生まれつきではない場合は、ヒアルロン酸注射や脂肪注入の可能性が考えられます。
■バスト
バストアップのエクササイズや、胸を落とさずに痩せるダイエットもあると思いますが、限界はあります。他のパーツは脂肪がなくてガリガリなのに胸だけ大きくなったという人は、脂肪やヒアルロン酸などの注入や、シリコンの挿入をしている可能性があります。
■その他
鼻の横に「ハ」の字のような線(しわ)ができているのを見て、整形と思われる人もいるかもしれません。私の経験上、それが整形によるものだという認識はなく、痩せている人に線ができやすい印象があります。