女優・森川葵が、狂言師・野村萬斎と歌舞伎俳優・市川猿之助が異色の共演を果たす映画『花戦さ』(2017年公開)に出演することが27日、発表された。

映画『花戦さ』での野村萬斎(上)と新たに出演が発表された森川葵

原作は、文禄3年(1594年)に池坊専好が豊臣秀吉に披露したといわれる「大砂物」(全幅7.2メートル、高さ3.5メートルに及ぶ立花)から生まれた伝説に着想を得た、鬼塚忠氏の小説『花いくさ』。初代・池坊専好という花の名手と千利休の友情や、京都の町衆である六角堂にいる花僧が、権力者・豊臣秀吉の乱心に、刃でなく花をもって相手をあだ討ちするストーリーに感銘を受けた製作側が、映画化を企画した。

森川が演じるのは、原作では描かれていないオリジナルのヒロインで天才絵師の"れん"。劇中で重要な役割を担うキャラクターで、戦国時代に生きており、ある出来事から心を閉ざしていたものの、専好(萬斎)に助けられ、少しずつ変化していく少女という役どころだ。このキャスティングは、本作を手がけた脚本家・森下佳子氏の強い推薦によって実現したという。

現場では、ベテラン俳優陣に囲まれる中、期待に応えてみせようと堂々とした存在感を見せている様子。森川演じるれんが劇中で描く画は、作品が大英博物館に所蔵展示されている版画家・小松美羽氏が担当する。

「京都に来て、すごく集中して撮影に臨めた」と振り返る森川。最初は「大先輩方に囲まれて、とても不安ではありました」というものの、「実際現場に来たら楽しく毎日撮影することができました」とうれしそうに報告している。演じる上でのポイントとしては、「なるべくちょっとした表情や目の演技で表現するようにしました」と明言。萬斎からは、「時代劇でも、もっと自由に色んなことにチャレンジしてみて良いんだ、堅苦しくなり過ぎなくて良いんだ、ということを学びました」と話している。

そんな萬斎は、「森川さんとは初共演」と打ち明け、「普段は、ハキハキしてますが、カメラの前では何とも言えない不思議な色気や一種のカリスマ性を感じました」と称賛。続けて自身の演じる専好が花に精通した人物であることを挙げながら「役柄としても、花と絵、それぞれのアーティストとして触発・尊重しあえる同志的な関係を演じられた」と達成感を口にした。