通常であれば1カ月に1回、女性に訪れる生理。生理前を含めると、1週間前後は生理に伴う不調に悩まされているという人も多いだろう。さまざまな対処をして乗り切るわけだが、その1つが「ピル」。ピルは避妊効果が高いことで知られるが、服用することで、月経前症候群(PMS)や生理痛も軽くなる場合がある。
今回は、ピルや生理にまつわる疑問について、婦人科の船曳美也子医師にお聞きした。このほか「生理中でも妊娠する? 」「生理前に性欲が高まるのはなぜ? 」といった疑問については、過去記事を読んでみよう。
Q. 女性がピルを飲んでいれば、男性がコンドームを着ける必要はありませんか?
排卵を起こさない作用のあるピルは、避妊効果が99%以上と高いので、コンドームより確実な避妊法です。個人差はありますが、PMSや月経痛の緩和も期待できます。ただし、ピルだけでは性感染症(STD)の予防はできません。特に多いのがクラミジア感染症。半数以上が無症状ですが、不妊の原因になります。これを防ぐためには、コンドームしかないですね。
Q. 月経血量が少ないときは、生理用品を交換しなくても大丈夫ですか?
月経血が少量でも、血液は雑菌の栄養源になりますので、生理用ナプキンやタンポンなど生理用品のこまめな交換は必要です。例えば、タンポンを入れたままにしていて雑菌が繁殖してしまうと、それが血液に入って、生命も脅かすような「トキシックショック症候群」(いわゆる「タンポンショック」)を発症することもまれにあります。実際、取り忘れのタンポンは強烈な悪臭がします。血液が少量でも、生理用品はこまめにかえるようにしましょう。
Q. 生理中、湯船につかるのは避けたほうがいいですか?
子宮は、長さ7センチなのに容量は3cc程度しかない、ペットボトルのような形をしています。膣の奥にある子宮の入り口が、ペットボトルの口にあたります。口の厚みは3センチほどありますが、口の内径は1ミリ程度です。普段その口は粘液栓でふさがれていますが、月経中は、はがれた内膜がそこから出てきます。特別に加圧することがなければ、普通の入浴で、お風呂の水が腹腔内に入ることはまずありませんので、湯船につかるのも問題ありません。
Q. 生理中に激しい運動をしてもOKですか?
月経中の運動も特に制限はありません。ただし、1回の月経で20~140ミリリットルの血液が失われます。普段から貧血ぎみの人は、激しい運動は控えた方がよいでしょう。
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取材協力: 船曳美也子(ふなびき・みやこ)
1983年 神戸大学文学部心理学科卒業、1991年 兵庫医科大学卒業。産婦人科専門医、認定産業医。肥満医学会会員。医療法人オーク会勤務。不妊治療を中心に現場で多くの女性の悩みに耳を傾け、肥満による不妊と出産のリスク回避のために考案したオーク式ダイエットは一般的なダイエット法としても人気を高める。自らも2度目の結婚で43歳で妊娠、出産という経験を持つ。2013年10月9日、「婚活」「妊活」など女性の人生の描き方を提案する著書『女性の人生ゲームで勝つ方法』(主婦の友社)を上梓。En女医会にも所属している。
En女医会とは
150人以上の女性医師(医科・歯科)が参加している会。さまざまな形でボランティア活動を行うことによって、女性の意識の向上と社会貢献の実現を目指している。会員が持つ医療知識や経験を活かして商品開発を行い、利益の一部を社会貢献に使用。また、健康や美容についてより良い情報を発信し、医療分野での啓発活動を積極的に行う。En女医会HPはこちら。