西日本鉄道は18日、都内で2016年度の事業戦略説明会を実施した。同社の「第14次中期経営計画(2016~2018)」「福岡の街を牽引するインバウンド戦略」を中心に、天神大牟田線への導入を検討している新型観光列車に関する説明も行われた。
同社は西鉄福岡(天神)~大牟田間を結ぶ天神大牟田線などの鉄道路線を持ち、現在、観光列車「旅人」「水都」も運行中。天神大牟田線では、2017年3月に新型車両9000形も導入される予定だ。全国最大規模のバス事業でも知られ、福岡県内のほぼ全域で一般路線バスが運行されるほか、西鉄天神高速バスターミナルを拠点に、九州の各都市や本州の主要都市を結ぶ高速バスも運行されている。
第14次中期経営計画(2016~2018年度)は「"次のにしてつ"へのさらなる挑戦 ~Moving forward to Next Stage in NNR~」の名称で、「既存事業の深化とグローバル市場での事業拡大を推し進め、"次のにしてつ"へ向けて一歩踏み出す」を基本方針としている。新型観光列車は重点戦略のひとつ「地域マーケットビジネスの深化」の一環で、沿線の観光資源を活用した観光・インバウンド需要の取込みを目的に導入されるという。
同社代表取締役社長、倉富純男氏は新型観光列車について「本格的な食やエンターテインメントを提供し、乗ること自体が目的となる列車を検討中です。沿線観光の目玉として、2018年中の導入をめざします」と説明。地元食材によるメニューの提供、沿線ならではのイベント体験なども検討しているとのことだった。同社執行役員の藤田浩展氏(事業創造本部副本部長)は、「観光資源や食文化といった魅力を体感できる観光列車でインバウンド需要を取込み、西鉄沿線をより豊かで魅力ある地域にしたい」と述べた。
藤田氏は西鉄のインバウンド戦略についても説明。福岡空港や博多港から入国した後、福岡市内から九州各地への移動、観光やショッピング、ホテルでの宿泊など、出国までのすべてを担うべく、「街づくり」「交通」「ホテル」といった事業を展開するという。福岡市主導の都市再開発「天神ビッグバン」も推進し、今年6月から天神エリア・博多駅・ウォーターフロント地区の3拠点を結ぶ都心循環BRTも運行開始予定。九州初となる連節バスを導入し、2018年度までに連節バス15台、約10分間隔での運行をめざす。
なお、事業戦略説明会の質疑応答にて、4月に発生した熊本地震の影響に関する質問もあった。「地震発生直後は高速道路の寸断などの影響を受け、鹿児島方面・大分方面で2割程度落ち込みましたが、現在は落込みも抑えられています」「福岡では地震発生後からボランティアが増加しており、ホテル稼働率も以前とほとんど変わらず推移している状況です」と倉富氏は説明していた。