名古屋を代表するみそ煮込み専門店の新ブランド「鯱市」
「鯱市」はみそ煮込みうどんの代表格「山本屋本店」によるカレー煮込みうどん専門店。麺・だし・土鍋はみそ煮込みうどんと同じものをそのまま使い、みその替わりに特製カレールゥを加えている。
同社企画室の永田剛典さんは、「当初は山本屋本店の新メニューとして開発を進めていました。数年がかりでようやく自信を持ってご提供できる味が完成したのですが、お店で出すとなるとカレーの香りがみそ煮込みの風味を邪魔してしまう。そこで別ブランドの店舗を立ち上げることにしました」とそのこだわりを語ってくれた。
カレーのつゆはピリ辛と言うよりも"濃くて辛い"のが、同店のみそ煮込うどんの"濃さ"にも通じていて、いかにも名古屋的。インパクトのあるカレーに負けじと、かつおだしの風味もしっかり感じられる。麺は山本屋本店ならではの"太くて固い"独特の食感で、つるつるではなくむしゃむしゃと豪快にかき込むのが似合う。付け合わせにポテトチップス(夜はナッツ)がついているのも面白く、カレーをつけて食べると意外なほど合う。
〆の食べ方でお薦めは、黄身がほどよく固まった卵をご飯に移し、カレーつゆをたっぷりかけるカレーおじや。いっそう食べ応えがアップする。
現在、大須と伏見に2店舗。錦通伏見店はオフィス街という場所柄、酒類も豊富で、夕方6時~夜8時限定のサービスセット(ドリンク+からあげ+ポテトサラダで500円)などおトクなタイムサービスも。
●information
鯱市 錦通伏見店
名古屋市中区錦2-16-21
営業時間: 11時~15時(L.O)、18時~23時(L.O)
定休日: なし
名古屋文化圏特有の豆みそは少々……いや他府県の人にとってはかなりクセが強く、慣れるまでは時間がかかる。その点、カレーは日本の国民食とさえ言える存在で受け入れられやすい。また、カレー煮込みうどんは味に自信を持ち、なおかつ意欲のある実力店がそれぞれ工夫を凝らして新たなおいしさを生み出している点でもハズレがない。将来有望な新・名古屋メシ、ぜひお試しあれ。
※記事中の情報・価格は2016年4月取材時のもの
※価格は税込(店舗によって異なる)
筆者プロフィール: 大竹敏之(おおたけとしゆき)
名古屋在住のフリーライター。雑誌、新聞、Webなど幅広い媒体で名古屋情報を発信。Webガイドサイト「オールアバウト」では名古屋ガイドを務める。名古屋メシ関連の著作を数多く出版。『名古屋の喫茶店』『名古屋の居酒屋』『名古屋メン』『続・名古屋の喫茶店』(リベラル社)は自腹リサーチをコンセプトにしてご当地ロングセラーに。10月上旬にはご当地グルメコミックエッセイ『まんぷく名古屋』(KADOKAWA、森下えみこ著)に案内人として登場。