中部国際空港内に開設された「エスチャイル セントレア保育園」

中部国際空港株式会社は4月1日、愛知県常滑市の中部国際空港内に認可保育施設(地域型事業所内小規模保育B型) 「エスチャイル セントレア保育園」を開設した。同社によれば、空港内に認可の保育施設ができるのは全国で初めて。従業員や地域住民の利用を想定している。

従業員待望の保育施設

同保育園は、同社とそのグループ会社、空港を利用する航空会社の従業員などを対象として開設されたもの。認可外の施設に比べると利用料の負担が軽減できるほか、地域住民の保育の受け皿も増やすことができる。定員は従業員が14名(0歳児: 4名、1・2歳児: 10名)、地域住民が5名(0歳児: 2名、1・2歳児: 3名)となっていて、4月1日時点で14名が利用しているという。勤務時間が不規則な従業員の働き方に合わせ、開所時間は午前5時半から午後11時まで。年中無休で利用できる。

同空港内には認可外ではあるが、過去にも事業所内保育所があった(2007年4月~2013年6月)。しかし、同社とそのグループ会社の従業員による申し込みが増え、航空会社の従業員を受け入れることが難しくなってくるにつれて、不公平感が生じてしまったという。加えて周辺に大規模な保育施設が開設され、保育の受け皿が確保できたこともあり、閉所となった。

訪日外国人増加&LCCの台頭が背景に

それではなぜ、新たな認可保育園の開設に至ったのか。同社の担当者はその背景として、「訪日外国人の増加とLCCの台頭」をあげた。「訪日外国人の増加により、外国語による案内・販売サービスが必要となった。そこに従事するのは、女性が多い。結果として女性従業員が増えている」とのこと。また、航空機の発着時間が深夜や早朝になることの多いLCCの台頭によって、働く時間もさらに不規則になったため、保育の需要が増したのだ。

従業員からも、子育て環境の整備に関する要望が多く寄せられていたという。担当者は、「中部国際空港の今後の成長を考えれば、人材が大事。子育てしながら働きやすい環境を整えていく必要がある」と語った。

「第一歩を踏み出した」

従業員にも地域住民にも、保育の受け皿を提供することとなった今回の保育園開設。とはいえ、定員は19名とニーズを満たしきれているかと言えば、不十分なのかもしれない。担当者は、「まず第一歩を踏み出したという認識。利用者からの要望を聞いて、保育施設自体も改善を図っていく必要があるし、保育園以外の方法でも、従業員が働きやすい環境を作るために努力を重ねていきたい」と話してくれた。

同社のグループ全体でみると、全社員の約55%が女性(正社員から派遣社員まであらゆる雇用形態を含む)。今後もさらに、増えていくだろう。地域や会社、それに空港まで、さまざまな場所で保育環境の整備が求められている。